前回、物流現場は昔から内製化を続けてきた。

そんな話を書きました。

床にペンキを塗る。

ラインテープを貼る。

パソコンで表示を作る。

コピー機で印刷する。

ラミネートして壁や扉に貼る。

どれも、「ここを何とかしたい」

という現場の人たちの工夫から生まれたものです。

私は、こうした改善を否定するつもりはありません。

むしろ、現場には昔から、自分たちで改善する力があった。

そこが、とても大切だと思っています。

ただ最近、いろいろな物流現場を見ながら、一つ気になることがあります。

現場の方は大きく変わっているのに、改善する道具は、

それほど変わっていないのではないか。

ということです。

物流現場は、かなり複雑になりました。

昔と比べれば、扱う荷物の種類も増えました。

設備も増えました。

フォークリフトだけではなく、自動搬送機器が動く現場もあります。

外国人スタッフもいます。

派遣スタッフもいます。

繁忙期には応援の人も入ってきます。

昨日までその現場を知らなかった人が、今日から働くこともあります。

さらに、

物量が突然増える。

置き場が変わる。

動線が変わる。

設備が追加される。

システムが変更される。

そんな変化が、以前より頻繁に起きるようになりました。

ところが、注意喚起はどうでしょう。

「危険」

「立入禁止」

「開閉注意」

「ヘルメット着用」

「フォークリフト注意」

A4用紙に印刷して、

ラミネートして、

テープで貼る。

あるいは、

床にラインテープを貼る。

剥がれてきたら貼り直す。

もちろん、必要な場所ではこれで十分です。

全部を新しい方法へ変える必要などありません。

ただ、それだけでは対応しにくい場所が増えている。

私は、そこを考える必要があると思っています。

例えば、「開閉注意」。

扉にA4サイズで貼ってあれば、

扉の前まで来た人には読めます。

しかし、少し離れた場所から歩いてくる人にはどうでしょう。

荷物を持っている人は?

台車を押している人は?

急いでいる人は?

初めてその場所を通る人は?

外国人スタッフは?

そして、扉の向こう側から来る人は?

「表示してある」

ことと、「行動する前に伝わっている」ことは違います。

ここが重要なのだと思います。

私は、表示の役割そのものが変わってきていると思います。

昔は、

「注意してください」

と伝えることが中心だった。

これからは、その人が考える前に、どう動けばいいのかが分かる。

そこまで求められるようになるのではないでしょうか。

止まる場所。

歩く場所。

リフトが走る場所。

荷物を置いてはいけない場所。

扉が開く場所。

転落する可能性がある場所。

文章を読んで理解するのではなく、

見た瞬間に行動につながる。

そんな現場設計が必要になってくるように思います。

だから、A4が悪いという話ではありません。

ここは誤解してほしくありません。

パウチが適している場所もあります。

テープで十分な場所もあります。

塗装した方が良い場所もあります。

外部の専門業者へ依頼すべき施工もあります。

問題は、選択肢がそれしかないこと

ではないでしょうか。

現場の人が、

「ここはもっと大きく表示したい」

と思っても、A4しか作れない。

「床にも表示したい」

と思っても、自分たちでは難しい。

「この現場専用の表示を作りたい」

と思っても、既製品にはない。

業者へ頼めばできるけれど、

見積もり、発注、施工調整が必要になる。

すると、

「とりあえずこれでいいか」となってしまう。

私は、この「とりあえず」が積み重なっている現場が、かなり多いように感じています。

でも、現場の人は気づいています。

「あそこ、見えにくいよな」

「この表示、小さいよな」

「テープがまた剥がれてきた」

「新人には分かりにくいだろうな」

「あそこに大きく書けたらいいのに」

そう思っている人は、

たくさんいるのではないでしょうか。

問題は、

気づいていないことではありません。

気づいたことを、すぐ形にする手段が少なかったこと。

私は、そこに次の内製化の意味があると思っています。

パソコンと複合機が、現場の表示を変えました。

昔は手書きだったものが、パソコンで作れるようになった。

コピー機があったから、すぐ印刷できるようになった。

ラミネーターが安くなったから、自分たちで保護できるようになった。

だからパウチ表示が、これだけ現場に広がったのだと思います。

これは、とても自然な進化です。

だったら次も、同じではないでしょうか。

床にも。

壁にも。

扉にも。

ガラスにも。

必要な大きさで。

必要な色で。

その現場に必要な内容を、自分たちで作る。

そして、貼って終わりではなく、

見え方を確認する。

スタッフに聞く。

変える。

もう一度試す。

その結果を残す。

これが次の現場内製化だと思っています。

現場が複雑になるほど、内製化は必要になる。

少し逆説的ですが、私はそう思います。

現場が単純なら、共通の既製品でも対応できます。

でも、

人が違う。

設備が違う。

荷物が違う。

動線が違う。

時間帯によって状況まで違う。

そうなれば、

本部がすべての表示を決めることも難しくなります。

外部業者が現場の変化すべてを把握することもできません。

だからこそ、

現場を一番知っている人たちが、自分たちで改善できる環境を持つ。

その価値が大きくなるのだと思います。

20年前、

各職場にパソコンや複合機があることは、今ほど当たり前ではありませんでした。

でも今、それらがない職場を想像する方が難しい。

現場改善の道具についても、

同じような変化が起きるのではないかと思っています。

パウチをやめよう。

テープをやめよう。

塗装をやめよう。

そんな話ではありません。

使えるものは、これからも使えばいい。

その上で、現場にもう一つ、

「自分たちで、必要なものを必要な時に作れる」

という選択肢を持つ。

現場は、もう変わっています。

だったら、

現場を改善する道具も、そろそろ進化していい。

私は最近、

そんなことを考えています。

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