物流効率化法の施行を受けて、物流現場では時間を短縮するための取り組みが進んでいます。

国土交通省が公表した2025年度の調査では、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間は

10時間13分となり、前年の調査から1時間33分短縮されました。

そのうち、荷待ち・荷役等の時間は1時間16分短縮されています。

まだ課題は残っていますが、改善の動きが数字にも表れ始めています。

では、倉庫や工場の中ではどうでしょうか。

トラックの待ち時間だけでなく、そこで働く人たちの時間にも、改善できる余地が

残っているのではないでしょうか。

🔳「あれ、どこに置いた?」

倉庫の中で、こんな会話を耳にすることがあります。

「あの荷物、どこに置いた?」

「昨日はここにあったはずだけど」

「ちょっと、担当者に聞いてみます」

誰もサボっているわけではありません。

必要な荷物を探し、確認しているだけです。

しかし、その間、作業は止まっています。

担当者が見つからなければ、別の人に聞くことになります。

ようやく荷物が見つかっても、今度はフォークリフトで取りに行かなければならない。

一つひとつは小さな出来事です。

でも、こうした時間が毎日、何度も発生しているとしたら、どうでしょうか。

🔳探しているのは、荷物だけではない

実は、現場で探しているものは荷物だけではありません。

空いている仮置き場所。

使用できる台車やパレット。

作業に必要な道具。

そして、ときには担当者そのものを探しています。

忙しいときほど、こうした確認が増えることがあります。

昨日まで決まっていた置き場所が、今日は別の荷物で埋まっている。

空いている場所に一時的に置いた荷物が、次の作業の邪魔になってしまう。

そうなると、また移動させなければなりません。

探す、確認する、移動する。そして、また探す。

現場には、仕事を進めるために必要な作業とは別に、こうした時間が存在しています。

🔳デジタル化だけでは解決できないこともある

最近の物流現場では、倉庫管理システムやハンディターミナルなど、

デジタル技術の活用が進んでいます。

商品の保管場所や在庫数が画面で確認できる。

これは、大きな進歩です。

ただ、画面に「A-12」と表示されても、現場でその場所がすぐにわからなければ、

結局は探すことになります。

システムの情報が正しくても、実際の現場で荷物が違う場所に置かれていたら、

確認が必要になります。

デジタルの情報を正しく管理することと、現場で誰もが迷わず行動できること。

この二つは、似ているようで違います。

どちらか一方ではなく、両方が整って初めて、使いやすい現場になるのではないでしょうか。

🔳「聞かなくてもわかる」は、大きな改善

例えば、荷物の置き場所が床や壁にわかりやすく表示されていたら。

仮置きできる場所と、置いてはいけない場所が一目で区別できたら。

歩行者の通路やフォークリフトの停止位置が、初めて来た人にも自然に伝わったら。

毎回、誰かに確認する必要は少なくなるはずです。

特に、新人や応援スタッフ、外国人作業者など、現場にまだ慣れていない

人にとっては、大きな助けになります。

もちろん、表示を整えるだけですべての問題が解決するわけではありません。

置き場所のルールを決め、変更があれば情報と表示を一致させることも必要です。

しかし、人に覚えてもらうことだけに頼らず、見ればわかる環境をつくる。

それだけでも、仕事の進め方は変わってくるのではないでしょうか。

🔳探す時間が減ったら、何ができる?

探す時間が減れば、作業が早く終わるかもしれません。

しかし、効果はそれだけではありません。

管理者は、何度も同じ質問に答える時間を減らせる。

新人は、周囲に聞くことをためらわずに済む。

ベテランは、自分の作業を中断する回数を減らせる。

そして、急いで荷物を探したり、慌てて移動させたりする場面が減れば、

安全面にも良い影響が期待できます。

時間の短縮は、単に仕事を速くするためだけのものではありません。

現場で働く人が、落ち着いて仕事に向き合える余裕を生み出すことにもつながります。

🔳まとめ|探さなくてもよい現場を考えてみる

物流の効率化というと、大きな設備投資や新しいシステムの導入を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それらは重要です。

しかし、普段の仕事を少し振り返るだけでも、改善できる時間は見つかるのではないでしょうか。

今日、誰かが荷物を探していなかったか。

置き場所を確認するために、作業を止めていなかったか。

同じ質問が、何度も繰り返されていなかったか。

もし、そんな場面があるなら、それは改善のヒントかもしれません。

人が頑張って探す現場から、探さなくてもわかる現場へ。

物流の未来を変える取り組みは、案外、そんな身近なところから始まるのではないでしょうか。

INGでは、現場の安全表示やルールの「わかる化」についてご相談を承っています。


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