物流現場は20年でどれほど変わったのでしょうか。

フォークリフトは今も走っています。

倉庫もあります。

荷物を保管し、出荷する仕事も変わりません。

しかし現場で働く方に話を聞くと、多くの人がこう言います。

「昔とは別の仕事になった」と。

では、何が変わったのでしょうか。

ECだけが物流を変えたわけではない

物流が変わった理由として、よくEC市場の拡大が挙げられます。

もちろん、それは大きな要因です。

インターネットで注文した商品が翌日に届く。

今では当たり前のサービスになりました。

しかし、物流現場を変えたのはECだけではありません。

在庫を持たない時代になった

20年前、多くの企業は今よりも多くの在庫を持っていました。

しかし現在は、

・在庫圧縮
・在庫回転率向上
・保管コスト削減

が求められる時代です。

在庫は減りました。

その代わり、欠品は許されなくなりました。

結果として、

物流にはこれまで以上に正確さとスピードが求められるようになりました。

生産の考え方も変わった

以前は同じ製品を大量に生産することが一般的でした。

しかし現在は、

・多品種少量生産
・短納期対応
・需要変動への即応

が求められています。

物流現場は、

単に保管する場所ではなく、

変化に対応する場所へと変わりました

「待てない社会」が生まれた

現場で話を聞くと、こんな声を耳にします。

「昔は来週納品でも普通だった」

「今は明日、できれば今日と言われる」

物流だけが変わったのではありません。

社会全体が、待たない方向へ変化しています。

物流現場は、その変化を最前線で受け止めています。

現場で増えたもの

物流現場では、20年前にはあまり見られなかったものも増えています。

・リチウムイオン電池
・モバイルバッテリー
・自動搬送設備
・AGV(無人搬送車)
・多様な荷主の商品

便利になった一方で、

新しいリスクも増えています。

見えにくくなった「小さな事故」

物流現場で増えているのは、大きな事故だけではありません。

高床バースからの転落。

荷積み・荷下ろし中の落下。

商品の移動中に起きる指詰め。

フォークリフトとの接触。

こうした事故やケガは、ニュースになることは多くありません。

しかし現場では確実に発生しています。

特に最近は、ドライバー不足の影響もあり、慣れていないドライバーが現場に入る場面も増えています。

本来であれば倉庫側の作業者が行う作業を、ドライバーが手伝う。

荷下ろしの流れが分からないまま作業に加わる。

高床バースの段差や荷物の重さ、パレットの動きに慣れていない。

その結果、転落、落下、指詰め、腰痛などの事故につながることがあります。

しかも、こうした事故のすべてが倉庫側に報告されているとは限りません。

「大きなケガではないから」

「迷惑をかけたくないから」

「急いでいたから」

そうして現場の外へ出ていってしまう事故もあります。

数字に現れない事故。

報告されないケガ。

そこにも、今の物流現場の変化が表れているのではないでしょうか。

現場は変わった

ここまで見ると、

物流現場は同じ仕事をしているようでいて、

実際にはまったく違う環境になっていることが分かります。

荷物も変わった。

スピードも変わった。

設備も変わった。

求められる役割も変わった。

では、その変化に対して、

安全対策や現場運営の考え方は変わっているのでしょうか。

次回予告

物流現場は20年前と比べて大きく変化しました。

では事故はどうでしょうか。

事故は減ったのでしょうか。

それとも形を変えているのでしょうか。

次回は、陸災防や厚生労働省のデータも参考にしながら、

「事故は減ったのか、それとも変わったのか」

について考えてみたいと思います。