前回は、フォークリフト事故をきっかけに、

「事故は減ったのか、それとも形を変えているのか」について考えました。

昔から繰り返されている事故があります。

一方で、最近の物流現場では、20年前にはあまり見られなかったリスクも増えています。

物流現場は便利になりました。

効率化も進みました。

しかしその一方で、新しい危険も生まれています。

リチウムイオン電池という新しいリスク

まず大きいのが、リチウムイオン電池です。

スマートフォン。

モバイルバッテリー。

電動工具。

ハンディ端末。

AGV。

電動フォークリフト。

今の物流現場には、リチウムイオン電池を使った機器が数多く存在します。

さらにEC物流では、荷物の中にリチウムイオン電池を含む商品が混在することもあります。

20年前の物流現場では、ここまで身近なリスクではありませんでした。

火災の質も変わっている

リチウムイオン電池の怖さは、単に燃えることではありません。

内部で熱暴走が起きると、消火したように見えても再燃することがあります。

つまり、

「消えた」と思っても、

「安全になった」とは限らない。

この違いは大きいです。

従来の火災対応だけで、本当に十分なのか。

現場ごとに考える必要が出てきています。

自動搬送設備とAGV

次に、自動搬送設備やAGVです。

物流センターでは、コンベア、自動倉庫、仕分け装置、AGVなどの導入が進んでいます。

これらは省人化や効率化に欠かせない設備です。

しかし、設備が増えるということは、

人と機械が同じ空間にいる場面も増えるということです。

特に危険なのは、

・点検中
・清掃中
・詰まり対応中
・異常停止後の復旧作業

です。

通常運転中よりも、

「止まっていると思って近づいた時」

に事故が起きやすくなります。

サイバー攻撃も現場を止める

20年前には、物流現場の安全とサイバー攻撃を結び付けて考えることは少なかったかもしれません。

しかし今は違います。

倉庫管理システム。

配送管理システム。

在庫管理システム。

自動仕分け設備。

これらが止まると、現場そのものが混乱します。

システムが止まった時、誰が何を判断するのか。

どの荷物を優先するのか。

どこに仮置きするのか。

現場が迷えば、荷物も人も滞留します。

その混乱が、新しい事故リスクにつながる可能性があります。

知らない荷物が増えている

ECの拡大により、物流現場に入ってくる荷物の種類も増えました。

中身が分かりにくい荷物。

壊れやすい商品。

バッテリーを含む商品。

重量や形状がバラバラの商品。

これらが大量に流れ込む現場では、

従来の「いつもの荷物」を前提にした作業では対応しきれません。

荷物が変われば、

扱い方も変わります。

扱い方が変われば、

事故の起き方も変わります。

新しいリスクは、見えにくい

リチウムイオン電池も、

AGVも、

サイバー攻撃も、

中身の分からない荷物も、

一見すると日常の中にあります。

特別な危険物に見えない。

特別な作業に見えない。

だからこそ、危険に気づきにくいのです。

昔のように、

「大きな荷物が危ない」

「重い荷物が危ない」

「フォークリフトが危ない」

だけではなくなっています。

今の現場では、

見た目では分かりにくいリスクが増えています。

これまでの対策で足りるのか

もちろん、従来の安全対策は今も必要です。

フォークリフト教育。

保護具。

注意喚起。

作業ルール。

どれも大切です。

しかし、現場に新しいリスクが増えているなら、

対策も新しく考える必要があります。

20年前にはなかった危険に、

20年前と同じ考え方で対応できるのでしょうか。

次回予告

次回は、

人手不足と一人作業について考えます。

ドライバー不足。

慣れない作業者。

応援作業。

点検・整備・荷下ろしの手伝い。

人が足りない現場では、

「本来なら一人でやるべきではない作業」

が一人で行われてしまうことがあります。

そこに、今の物流現場の大きなリスクが隠れているのかもしれません。

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