前回は、短時間荷役によってフォークリフト作業のスピードが上がり、

安全確認の余裕が失われていないか、という話を書きました。

荷待ち時間を減らす。

バースの回転率を上げる。

短時間で積み込みを終える。

これらは、今の物流現場にとって必要な取り組みです。

しかし、その裏側で人とフォークリフトの距離が近づき、

確認作業の余裕が失われている現場もあるのではないでしょうか。

今回は、その中でも特に見落とされやすい、

ドライバーの立ち位置、について考えます。

🔳ドライバーは荷役現場の中に入ってくる

物流現場では、ドライバーは単にトラックを運転してくるだけではありません。

バースに接車する。

受付をする。

伝票を確認する。

積み込み順を確認する。

荷物の数量を確認する。

場合によっては、荷積みや荷下ろしを手伝う。

つまりドライバーは、荷役現場の中に入ってくる存在です。

しかし、そのドライバーがどこに立てばよいのか。

どこで待てばよいのか。

どこで荷物を確認すればよいのか。

そこが明確になっていない現場は、意外と多いのではないでしょうか。

「邪魔にならない場所」が安全とは限らない

ドライバーは、倉庫作業の邪魔にならないように立とうとします。

リフトの邪魔にならない場所。

作業者の動線をふさがない場所。

荷物の近くで確認しやすい場所。

しかし、その場所が本当に安全とは限りません。

リフトの後方かもしれません。

荷物の陰かもしれません。

バース端部の近くかもしれません。

トラックとバースの間かもしれません。

フォークリフトの旋回範囲かもしれません。

本人は「邪魔にならない場所」にいるつもりでも、実際には危険な場所に立っていることがあります。

荷物確認は、どこで行うべきか

積み込み前後には、荷物確認が必要です。

数量。

品番。

行き先。

破損の有無。

積み込み順。

伝票との照合。

こうした確認作業は大切です。

問題は、その確認をどこで行っているかです。

バース前で荷物を見ながら確認する。

トラックの後ろで確認する。

リフト作業中のすぐ横で確認する。

積み込み中のパレットの近くで確認する。

このような状態では、確認作業そのものが危険に近づく行動になってしまいます。

荷物確認は必要です。

しかし、確認する場所が決まっていなければ、ドライバーは危険な場所に立ってしまいます。

短時間荷役ほど、確認場所が曖昧になる

短時間荷役が進むと、現場はどうしても急ぎます。

トラックが着いたらすぐに積む。

次の便を待たせない。

バースを早く空ける。

出荷時間に間に合わせる。

その中で、確認作業は「作業しながら」行われがちです。

リフトが動いている横で伝票を見る。

荷物を避けながら数量を数える。

作業者と会話しながら後ろへ下がる。

積み込み中のトラック後方に立つ。

一つひとつは小さな動きです。

しかし、バース前ではその小さな動きが事故につながります。

ドライバーは現場ルールを知らないことがある

倉庫側の作業者にとっては当たり前のルールでも、

ドライバーが知っているとは限りません。

このバースはリフトが右から入る。

この場所は死角になる。

ここは端部が近い。

ここは荷物を置いてはいけない。

ここは待機してはいけない。

この時間帯は出荷が集中する。

こうした現場ごとのルールは、初めて来たドライバーには分かりません。

慣れているドライバーでも、毎回同じ現場に来るとは限りません。

応援ドライバー、外部委託、経験の浅いドライバー、言語や経験の違う作業者もいます。

その人たちに対して、「分かっているはず」前提にするのは危険です。

受付からバースまでの流れは見えているか

ドライバーの安全を考えるなら、バース前だけでなく、受付からバースまでの流れも重要です。

どこで受付するのか。

どこで待機するのか。

どのタイミングでバースへ向かうのか。

どこに車両を止めるのか。

降車後、どこを歩くのか。

どこで伝票を確認するのか。

誰に声をかけるのか。

これらが曖昧だと、ドライバーは現場内を迷います。

迷うということは、危険な場所に近づく可能性があるということです。

待機位置がなければ、人は危険な場所に立つ

人は、待つ場所が決まっていなければ、空いている場所に立ちます。

壁際。

荷物の横。

トラックの後ろ。

リフトの通路脇。

バース端部の近く。

そこが安全かどうかではなく、

「邪魔にならなさそう」という感覚で立ってしまいます。

だからこそ、待機位置は必要です。

ドライバーはここで待つ。

荷物確認はここで行う。

リフト作業中はここから先に入らない。

作業完了の確認はこの場所で行う。

こうしたルールが現場に示されていれば、ドライバーは迷いません。

声かけだけでは伝わらない

もちろん、現場での声かけは大切です。

「そこは危ないです」

「こちらで待ってください」

「リフト作業中は入らないでください」

こうした声かけによって防げる事故もあります。

しかし、声かけだけに頼ることには限界があります。

忙しい時は声をかける余裕がありません。

騒音で聞こえないこともあります。

相手が意味を理解できないこともあります。

作業者が別の方向を見ていることもあります。

何度も同じ説明をしなければならない現場は、それだけで負担が大きくなります。

だからこそ、声かけの前に、見れば分かる状態を作る必要があります。

ドライバーの立ち位置も安全設計の一部

安全対策というと、フォークリフトの運転や作業者教育に目が向きがちです。

しかし、バース前ではドライバーの立ち位置も重要な安全設計です。

どこに立つか。

どこで待つか。

どこで確認するか。

どこから先に入らないか。

これらが決まっていないと、ドライバーはその場で判断します。

そしてその判断が、現場のルールと合っているとは限りません。

荷役現場の安全は、倉庫側の作業者だけで守るものではありません。

現場に入ってくるすべての人に、行動が伝わる必要があります。

荷物確認場所を現場に残す

これからの荷役現場では、荷物確認場所を明確にすることが重要になると思います。

伝票確認はここで行う。

数量確認はこの位置から行う。

積み込み中はこの線から先に入らない。

リフト作業中は待機位置で待つ。

荷物確認後はこのルートで戻る。

こうしたルールが現場に残っていれば、ドライバーも作業者も迷いにくくなります。

掲示板に書くだけではなく、その場所に来たときに分かること。

ここが大切です。

まとめ

短時間荷役が進む中で、ドライバーの待ち時間は減りつつあります。

しかし、その一方で、バース前では人とリフトと荷物がより短時間に

集中するようになっています。

このような現場で、ドライバーの立ち位置や荷物確認の場所が曖昧なままだと、

事故のリスクは高まります。

ドライバーはどこで待つのか。

どこで荷物を確認するのか。

リフト作業中はどこに立つのか。

どこから先に入ってはいけないのか。

これらが、現場で見れば分かる状態になっているか。

そこを見直すことが、これからの荷役現場では重要です。

荷役現場の安全は、リフト作業者だけの問題ではありません。

そこに入ってくるドライバーにも、迷わず安全な行動が取れる現場になっているか。

その視点が必要になっているのではないでしょうか。

次回は、荷役現場で見落とされやすい「外部ドライバーへのルール伝達」について考えます。

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