2026年6月17日に発生した、アメリカ・ロサンゼルスの大規模冷蔵倉庫火災について、新たな動きがありました。

9月27日、カリフォルニア州のニューサム知事は、この火災を受けて検討されていた2つの法案に署名しました。

今回の火災では、鎮圧後も大量の食品廃棄物の腐敗、悪臭、害虫、周辺住民への影響などが長期間続きました。

新たな法律は、こうした大規模施設の事故によって生じる地域への影響に対応するためのものです。

大型冷蔵倉庫に緊急対応資金の確保を求める

今回成立した法律の一つが、AB 817です。

この法律では、一定の条件に該当する大型冷蔵倉庫について、建築許可を受ける際に、事故後の地域支援に

使用できる緊急対応資金の確保が求められます。

基金のほか、一定の条件を満たす保険などによる対応も認められています。

対象は、一定規模以上の冷蔵施設で、指定された事故放出防止プログラムの対象となる施設などです。

すべての物流倉庫が対象になるわけではありません。

確保した資金は、所定の緊急事態が発生した場合、近隣住民への食料支援、住宅支援、空気質の監視、

害虫対策、健康被害への対応などに使用されます。

当初はロサンゼルス市のボイルハイツ地区内の対象施設に適用され、

2028年7月1日からは州全体の対象施設に適用される仕組みです。

重大な違反には最大5万ドルの罰金

もう一つ成立したのが、SB 716です。

この法律では、一定規模以上の非住宅建築物について、健康や安全を脅かす条例違反に対する自治体の罰金を強化します。

特に、州知事による非常事態宣言や連邦政府による災害宣言につながる一定の違反については、1件当たり最大5万ドル、

日本円で約750万円規模の罰金が認められます。

こちらは冷蔵倉庫に限らず、条件を満たす他の大型施設も対象となる制度です。

カリフォルニア州政府は、今回の法改正について、大規模施設の事故が

地域住民に長期的な影響を与えたことを踏まえたものだと説明しています。

日本では、どのような制度になっているのか

日本でも、物流倉庫や工場の火災を防ぐため、消防法や建築基準法などによって

防火管理や消防設備、建物の安全性などが規制されています。

消防庁は2025年3月に「大規模倉庫における効果的な防火管理に関するガイドライン」を公表し、

倉庫の大型化や自動化などを踏まえた防火管理のあり方を示しています。

また、火災が発生した後についても、事業者の責任がなくなるわけではありません。

廃棄物処理法では、事業活動に伴って発生した廃棄物を、事業者が自らの責任で適正に処理することが求められています。

さらに、火災によって近隣住民などに損害を与えた場合には、事故の原因や過失などに応じて、

民法上の損害賠償責任が生じる可能性があります。

ただし、今回のカリフォルニア州の新法のように、一定の大型冷蔵倉庫の建築許可に際し、

住民支援のための資金や保険を事前に確保させる全国一律の一般制度は、日本では確認されていません。

日米で異なる、火災後の費用負担の仕組み

日本とカリフォルニア州では、火災予防や事業者責任に関する制度がそれぞれ整備されています。

今回の新法で注目されるのは、火災が発生した後の地域支援に必要な資金を、

対象施設の建築許可の段階から確保させるという点です。

日本では、事故後の廃棄物処理や損害賠償などについて、既存の法律に基づいて責任が判断されます。

一方、カリフォルニア州では、一定の大型冷蔵倉庫に対して、事故後の住民支援に使用できる資金を

事前に用意させる制度が新たに設けられました。

これは、従来の火災予防対策とは異なる、事故後の地域への影響に着目した制度です。

火災から約3か月で成立した新たな法律

6月17日に発生したロサンゼルスの冷蔵倉庫火災は、9月27日に成立した州法にも影響を与える結果となりました。

食品廃棄物の撤去や清掃は完了したと発表されていますが、火災原因や責任の所在をめぐる問題は続いています。

その一方で、カリフォルニア州では、将来の大規模施設事故に備えて、

緊急対応資金の確保と罰金制度の強化が決まりました。

今回の火災は、一つの物流施設で起きた事故が、地域住民への対応、企業の費用負担、

さらには州の法制度にまで影響を及ぼした事例となっています。

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