
9月1日のメール配信を前に、これまでの記事のアクセスを見直していると、
フォークリフト事故に関する記事は、今も引き続き読まれています。
事故は、どの現場にとっても他人事ではありません。
一方で、歩行帯の記事や、現場タイプ診断にもアクセスがあります。
これは、読者の方が単に事故情報だけではなく、
「自分たちの現場では何が起きているのか」
「どこを見直せばよいのか」
という視点にも関心を持ち始めているのではないかと感じます。
そこで最近のブログでは、
事故そのものだけを追うのではなく、
現場で日常的に失われている時間にも目を向けています。
探す時間。
聞く時間。
注意する時間。
確認する時間。
説明する時間。
待つ時間。
一つひとつは小さく見えるかもしれません。
しかし、それが毎日繰り返されると、
管理者やスタッフの時間は、少しずつ奪われていきます。
今回考えたいのは、
管理者の時間が奪われる現場は、なぜ改善が進まないのか ということです。
■ 管理者の時間は、現場の大切な資源です
物流現場や工場では、管理者の仕事はとても多いと思います。
人員配置。
作業進捗の確認。
安全確認。
トラブル対応。
荷主対応。
協力会社との調整。
新人教育。
会議や報告資料の作成。
そして、日々の現場改善。
どれも大切な仕事です。
しかし、管理者の時間は無限ではありません。
一日は決まっています。
だからこそ、管理者が何に時間を使っているかは、
現場にとって非常に重要です。
■ 管理者は、毎日細かな対応に追われている
現場では、管理者が細かな対応に追われる場面が多くあります。
「この荷物はどこに置きますか?」
「ドライバーはどこで待ってもらいますか?」
「この道具が見つかりません」
「歩行帯に荷物が置かれています」
「通路がふさがっています」
「来訪者が事務所の場所を聞いています」
「この表示は、どこまで有効ですか?」
一つひとつは、小さな対応かもしれません。
しかし、そのたびに管理者は手を止めます。
状況を確認する。
相手に説明する。
現場へ行く。
判断する。
指示する。
場合によっては注意する。
これが積み重なると、
管理者の時間は、少しずつ奪われていきます。
■ 目の前の対応に追われると、改善に時間を使えない
管理者の時間が奪われると、
何が起きるのでしょうか。
一番大きいのは、 改善に使う時間がなくなる ということです。
本当は、現場を見直したい。
なぜ同じ場所に荷物が置かれるのか。
なぜ道具が戻らないのか。
なぜドライバーが迷うのか。
なぜ歩行帯が守られないのか。
なぜ同じ注意が繰り返されるのか。
こうしたことを考える時間が必要です。
しかし、毎日目の前の対応に追われていると、
そこまで考える余裕がなくなります。
結果として、
今日も同じ注意をする。
明日も同じ説明をする。
次の会議でも同じ話をする。
この繰り返しになってしまうことがあります。
■ 忙しいことと、改善が進んでいることは違う
管理者が忙しい現場ほど、現場改善が進みにくいことがあります。
それは、管理者が努力していないからではありません。
むしろ、毎日よく動いています。
現場を回り、声をかけ、確認し、指示し、トラブルにも対応している。
しかし、その時間の多くが、
同じ問題への対応に使われているとしたらどうでしょうか。
歩行帯に荷物があるたびに注意する。
道具がないたびに探す。
来訪者が迷うたびに案内する。
ドライバーが待機場所を聞くたびに説明する。
会議でまた同じ話をする。
これでは、管理者は忙しいのに、
現場そのものはなかなか変わりません。
忙しいことと、改善が進んでいることは違う。
ここは、意外と見落とされやすいところではないでしょうか。
■ 管理者の仕事は、注意係ではない
もちろん、注意指導は必要です。
危険な行動があれば、すぐに声をかけなければなりません。
ルールが守られていなければ、その場で伝える必要があります。
しかし、管理者の仕事は、注意係になることではないはずです。
本来、管理者が見るべきものは、もっと先にあります。
なぜ、その危険が起きるのか。
なぜ、その行動が繰り返されるのか。
なぜ、そのルールが守りにくいのか。
なぜ、現場の人が迷っているのか。
ここを見ることが、管理者の大切な仕事ではないでしょうか。
人に注意するだけでなく、注意しなくても伝わる現場に変えていく。
そこに、管理者の時間を使える状態を作ることが大切だと思います。
■ 判断を減らすことが、管理者の時間を守る
管理者の時間を守るためには、
現場で発生する小さな判断や確認を減らすことが大切です。
例えば、
どこに置くのか。
どこを歩くのか。
どこで待つのか。
どこに戻すのか。
どこで止まるのか。
どこに案内するのか。
これらが毎回人に聞かれる状態では、管理者やベテランの時間が奪われます。
反対に、見れば分かる状態になっていれば、聞かれる回数は減ります。
聞かれない。
迷わない。
注意しなくていい。
説明しなくていい。
その積み重ねが、管理者の時間を守ることにつながります。
■ 毎回説明していることを、見ればわかる形にできないか
管理者の時間を奪っている小さな確認や説明の中には、
人が毎回伝えなくても、現場に表示すれば伝わるものがあるかもしれません。
歩く場所。
止まる場所。
置いてよい場所。
置いてはいけない場所。
待機する場所。
戻す場所。
入ってよい場所、入ってはいけない場所。
こうした情報を、床・壁・扉・柱などに分かりやすく示すことで、
管理者が毎回説明しなくても、
新人やドライバー、来訪者にも伝わる場面はあるはずです。
大きな仕組みを一気に変えるのではなく、
まずは現場で繰り返されている確認や説明の中に、
“見ればわかる”に変えられるものがないかを見る。
そこに、現場の時間を奪わない“わかる化”の価値があるのではないでしょうか。
■ 見ればわかる現場は、管理者だけに頼らない
強い現場は、管理者がすべてを判断しなくても動ける現場だと思います。
現場の人が、見れば分かる。
新人が、見れば分かる。
ドライバーが、見れば分かる。
来訪者が、見れば分かる。
もちろん、管理者の判断が必要な場面はあります。
しかし、すべてを管理者に聞かなければ進まない現場では、
管理者の時間がいくらあっても足りません。
だからこそ、管理者の頭の中にあるルールや判断基準を、
現場に見える形で出しておくことが必要です。
歩く場所。
止まる場所。
置いてよい場所。
置いてはいけない場所。
待機する場所。
戻す場所。
入ってよい場所、入ってはいけない場所。
こうした情報を、現場で見れば分かる形にする。
それだけでも、管理者が毎回説明しなくてよい場面は増えるのではないでしょうか。
■ 次回予告
次回は、現場の小さな時間ロスが、会社の利益にどう影響するのかを考えます。
探す時間。
聞く時間。
注意する時間。
説明する時間。
待つ時間。
やり直す時間。
一つひとつは小さく見えます。
しかし、それが毎日積み重なると、
会社の利益を少しずつ削っているかもしれません。
次回は、「現場の小さな時間ロスは、なぜ会社の利益を削るのか」
をテーマに考えていきます。
■ 最後に
管理者の時間は、現場にとって大切な資源です。
その時間が、同じ注意、同じ説明、同じ確認、同じ会議に使われ続けているなら、
現場改善に使う時間は少なくなります。
管理者が忙しいのに、現場がなかなか変わらない。
もしそう感じるなら、管理者の働き方だけを見るのではなく、
現場の分かりにくさを見直す必要があるかもしれません。
聞かなくても分かる。
迷わなくても動ける。
注意しなくても伝わる。
その状態を作ることが、管理者の時間を守り、
現場改善を前に進める第一歩になるのではないでしょうか。
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