物流現場を訪問すると、「安全については○○さんが担当しています」

という話をよく聞きます。

もちろん、安全を管理する担当者は必要です。

ルールを決める。

事故を分析する。

安全教育を行う。

設備を確認する。

会社として安全を管理するためには、中心になる人が必要です。

ただ、現場を歩いていると、少し気になることがあります。

危険に最初に気づくのは、本当に安全担当者なのでしょうか。

危険に気づくのは、そこで働いている人。

例えば、

「ここからフォークリフトが急に出てくる」

「この場所は荷物を置くと見えにくくなる」

「雨の日は、この床が滑りやすい」

「新人が、この通路を間違えることが多い」

こうした小さな変化に最初に気づくのは、

毎日そこで働いている人だと思います。

フォークリフトの運転者かもしれません。

倉庫作業者かもしれません。

荷受け担当者かもしれません。

ところが、その人が気づいても、

自分で改善できるとは限りません。

「気づく人」と「改善する人」が離れている。

現場で危険に気づく。

班長に伝える。

安全担当者に相談する。

対策を考える。

必要なら業者に依頼する。

見積もりを取る。

予算を確認する。

施工する。

もちろん、大きな設備変更なら、この手順は必要です。

しかし、

「ここに一旦停止を表示したい」

「この扉に注意表示が欲しい」

「歩行帯の入口をもう少し分かりやすくしたい」

という小さな改善まで、同じような手順になっていないでしょうか。

そうなると、気づいてから改善されるまでに時間がかかります。

その間も現場は動き続けます。

小さな改善まで、安全担当者に集中させない。

安全担当者には、本来もっと重要な仕事があります。

事故原因の分析。

安全計画の策定。

教育。

設備対策。

監査への対応。

法令への対応。

現場全体のリスク管理。

こうした仕事に時間を使うべき人が、

「表示が剥がれています」

「注意表示を一枚作ってください」

「この場所にラインを追加したいです」

という細かな対応まで抱えてしまう。

これは、安全担当者にとっても負担です。

だから私は、

安全担当者の仕事を減らすためにも、現場でできる改善は現場でできるようにする。

という考え方があってもいいと思っています。

ただし、「誰でも勝手に作る」ではありません。

ここは重要です。

内製化というと、「現場が自由に表示を作ればいい」

と思われるかもしれません。

私は、それでは逆に危険だと思います。

人によって、

色が違う。

言葉が違う。

ピクトグラムが違う。

停止位置の考え方まで違う。

これでは、現場が分かりにくくなります。

必要なのは自由ではなく、

「決められたルールの中で、現場が改善できること」 です。

例えば、

赤は停止・禁止。

黄色は注意。

緑は安全・歩行。

基本的な表示はテンプレート化する。

文字の大きさやピクトグラムもある程度統一する。

そのうえで、現場に合わせて内容やサイズを変更する。

これなら、会社としての統一性と、現場のスピードを両立できます。

安全担当者の役割も変わる。

こうした仕組みができれば、

安全担当者が一つひとつ表示を作る必要はありません。

むしろ、「何を作るか」ではなく、

「どういうルールで作るか」を決める人 になっていきます。

現場は、そのルールの中で改善する。

良い改善があれば、安全担当者が確認する。

そして、他の部署や拠点にも展開する。

私は、この形の方が安全担当者の知識を会社全体に広げられると思います。

一つの現場の工夫が、会社の財産になる。

例えば、ある物流センターで、

フォークリフトと歩行者が交差する場所に新しい表示を作ったとします。

使ってみると、「以前より止まる人が増えた」

「新人にも分かりやすい」という結果が出た。

そこで終わらせず、写真を残す。

デザインを残す。

設置理由を残す。

そして、他の拠点にも共有する。

すると、一人の担当者が考えた小さな改善が、

会社全体で使える安全対策になります。

これは、単に表示を内製化することとは少し違います。

改善そのものを会社の中に蓄積していく。

これも「次の内製化」の大きな意味だと思います。

「安全担当者が守る現場」から、「みんなで改善できる現場」へ。

安全担当者は必要です。

専門知識も必要です。

会社としてのルールも必要です。

しかし、安全担当者だけで現場のすべてを見ることはできません。

毎日そこで働く人だから気づけることがあります。

だから、気づいた人が声を上げられる。

そして、小さなことなら、すぐ改善できる。

良い改善は、会社の中に残して共有する。

安全担当者は、それを管理し、より良い仕組みに育てていく。

そんな役割分担ができれば、

安全対策は一部の人だけの仕事ではなくなります。

現場に必要なのは、「気づけ」と言うことではない。

「危険に気づきましょう」

「安全意識を高めましょう」

もちろん大切です。

でも、せっかく気づいても、改善するまでに何週間もかかるのであれば、

現場の人も、そのうち声を上げなくなるかもしれません。

だから必要なのは、気づきを、すぐ改善につなげられる仕組み。

気づく。

作る。

使う。

確認する。

変える。

そして、良いものを残す。

#20で考えた「安全の内製化」は、ここまで進んで初めて会社の力になるのではないでしょうか。

安全を守る人を増やすのではなく、
安全を改善できる人を増やしていく。

私は、それがこれからの現場に必要な「次の内製化」だと思っています。

★無料現場診断のお知らせ


事故が起きる現場には共通点があります。
現場写真で確認する「現場の健康診断」を無料公開しています。
無料診断はこちらから ↓↓ ↓↓↓↓↓