2025年、物流業界に衝撃を与えたアスクルのサイバー攻撃。

あれから数か月。
2026年3月27日に発表された2026年5月期第3四半期決算を見ると、
今回の障害が単なる一時的トラブルではなかったことが、よりはっきり見えてきました。

アスクルの第3四半期累計売上高は
2,868億7,700万円(前年同期比20.1%減)

システム障害の影響で、ECサイトの受注を一時停止したことが業績を大きく直撃した形です。

11月の売上は“ほぼ止まった”に近かった

今回の決算で特に印象的だったのは、主力のASKUL事業です。

障害直後の11月度売上は前年同月比94.5%減

という、ほぼ“止まった”と言っていい水準まで落ち込みました。

その後、物流システムの再構築や段階的なサービス再開によって回復し、
2月時点では 20.6%減 まで持ち直しています。

この数字だけを見ると「かなり戻った」とも見えます。

しかし、逆に言えば完全には戻っていないということでもあります。

つまり一度止まった物流は、
再開したからといってすぐ元通りにはならないのです。

現場では、静かに比較が始まっている

このニュースに関連して、実際にこんな話も聞きました。

アスクルを使っていた企業の担当者が、今回の件をきっかけに
MonotaRを試したそうです。

その方はこう言っていました。

「全部を変えるわけではないけれど、モノタロウの方が安い商品もあると気づいた。

それがわかったのは良かった」

この言葉、かなりリアルだと思います。

企業購買は、ある日突然すべてを切り替えるわけではありません。

でも一度トラブルが起きると、

・他社も試す
・価格を比べる
・納期を比べる
・代替先を持つ

という行動を始めます。

つまり企業の購買は静かに分散するのです。

物流で一番怖いのは「静かな離反」

物流やECの世界で本当に怖いのは、派手なクレームよりも

顧客が静かに離れていくこと です。

なぜなら購買担当者は、
「もう使いません」とわざわざ宣言しないからです。

ただ静かに、「別の選択肢も持っておこう」と考え始める。

そしてその結果、一社への依存度は少しずつ下がっていきます。

今回のアスクルの決算は、
まさにその“戻り切らない現実”を示しているように見えます。

システムは止まる。その時に何が残るか

ここで、今回のニュースから一つ大事なことが見えてきます。

企業は今、

DX
AI
自動化

に大きな投資をしています。

しかし現実には、

・停電
・通信障害
・サイバー攻撃
・システム障害

によって、システムは止まることがあります。

そのとき本当に問われるのは、

現場が止まるのか、止まらないのか です。

どれだけシステムが進んでも、最後に動くのは人がいる現場 だからです。

これからの物流競争は「速さ」だけではない

これまで物流業界は、

・当日配送
・翌日配送
・短納期

といった「速さ」の競争を続けてきました。

もちろんそれは大事です。

しかしこれからは、それだけでは足りません。

本当に求められるのは安定して動き続けること です。

新人でも迷わない。
事故が起きにくい。
トラブルがあっても判断できる。

そうした現場が結果として

・効率
・低離職率
・安全

を生み出します。

そしてその積み重ねが、

サプライチェーン全体の安定につながるのだと思います。

最後に

アスクルの今回の決算は、単なる一社の業績の話ではありません。

これは物流業界全体に対する問いです。

あなたの現場は、システムが止まっても動けますか?

これからの物流に必要なのは、
「止まらないシステム」だけではなく、

止まっても動ける現場設計 なのかもしれません。

そして、その環境を素早く整えられることこそが、
これからの競争力になっていく気がします。