物流企業では、営業部門での成績不振などを理由に、管理部門(安全管理・総務・企画)に異動されるケースが少なくありません。
しかし、その人材が現場の実務経験を持っていない場合、大きな“認識のズレ”が生まれます。
現場からは、こんな声が聞こえてきます。
「現場に立ったこともない人がルールを作っている」
「事故の怖さも知らないのに、“守れ”とだけ言われても納得できない」
■ 管理者側も“困っている”
もちろん、異動された本人も困っています。
・いきなり法令や危険予知を求められる
・現場と話しても、何が問題か理解できない
・指示しても「説得力がない」と反発される
結果、現場も管理者もストレスを抱え、「誰も動かない職場」になってしまうことも珍しくありません。
■ 根本的な課題は「経験の欠如」と「伝達手段の不足」
異動した管理者に問題があるのではなく、現場の安全を守るための“仕組み”が欠けていることが本質的な課題です。
課題 | 現状 |
現場経験の不足 | フォークリフトの動線も知らずに表示を指示 |
知識の不足 | 安全基準や労災の構造が理解できない |
伝える手段がない | 「とにかく守って」としか言えない |
■ 解決策①:現場を知る機会をつくる
管理者に最低限の現場OJTやパトロール参加を義務づけることで、
「なぜこのサインが必要なのか」「なぜ守られないのか」の実感が持てるようになります。
■ 解決策②:「伝わる仕組み」を整える
現場経験が少なくても、“見ればわかる”サイン表示があれば、正確にルールを伝えられます。
・危険エリアへの進入禁止
・歩行者と車両の動線分離
・フォークリフト停止位置の明示
言葉では伝えきれない内容も、ビジュアル化されたルールであれば、新人にも外国人にも管理者にも伝わります。
■ まとめ:「人」ではなく「仕組み」で支える時代へ
現場を知らない管理者がいること自体は問題ではありません。
問題なのは、その人たちが機能する仕組みがないことです。
・「人が優秀だから大丈夫」ではなく
・「誰でも伝えられる・守れる仕組みがある」
そんな職場をつくることが、今後の物流企業に求められています。
