昔の倉庫や工場では、
床表示といえば「ペンキを塗る」「テープを貼る」くらいでした。

歩行帯は緑、フォークの走行は黄、危険箇所は赤テープ。
多少剥がれても、また貼ればよかった。

フォークリフトの台数も少なく、
作業員の入れ替えもそこまで激しくない。

あの頃は、それで十分だった。

しかし現場は、ここ30年で激変します。
荷物量が増え、フォークリフトが増え、パートさん・派遣さんが増え、
ラインテープの修復が日常になる。

そして――
あの“テープ文化”が、急速に通用しなくなっていきました。

■ 「剥がれる → 貼る → 汚れる → 剥がれる」の無限ループ

フォークリフトが増えた現場では、
床表示の寿命は一気に短くなります。

担当者は毎週のように貼り直し。
剥がした跡が残り、床はどんどん黒く汚れていく

ある現場の担当者が、ぽつりとこう言いました。

「どうせ剥がれるから、もういいでしょう…」

これが、“テープ時代”の終わりの始まりでした。

■ 貼り直しを繰り返すほど、現場の士気は落ちていく

剥がれたテープを見て思うのは、
「誰かがまた貼らなきゃ」という気持ちだけではありません

・貼ってもすぐ剥がれるなら意味がない
・どうせ汚れるのに、また掃除するの?
・床が汚い倉庫に、お客さんを呼べない
・新人が迷うのはわかってるけど、直しても続かない

“諦め”と“疲れ”が現場に漂っていく。

これが積み重なると、
ルールも安全も “形だけ” になってしまう。

■ 本当はテープじゃなくて、「守りやすいルール」がほしかった

ここが大事な本質です。

現場は“剥がれないテープ”を探してるように見えるけど、
実際にほしかったのは テープではなく仕組み。

つまり――

・新人が迷わないための道案内
・フォークと歩行を自動で分離する仕組み
・注意されなくても自然と守れる環境
・汚れず、消えず、続く表示
・見た瞬間に理解できるルール

これらを得たいがために、多くの現場はテープを貼り続け、
良い商品を探し続けてきた。

でも、テープという方法では 絶対に到達できなかった。

■ “テープ文化の限界”が、事故と混乱を引き寄せた

テープが剥がれても、
現場の人はその日も働かなければなりません。

だから、

・歩行帯が消えたまま作業
・リフトと人がニアミス
・荷役ラインが曖昧になり事故が発生
・新人が迷って、危険エリアに入る

テープが無かったせいで事故になるのではなく、
「ルールが見えない状態が続く仕組み」 が問題だった。

これは、どんな現場でも同じ。

■ だから今、多くの現場が“テープではない方法”を探し始めている

テープを貼る時代は長く続いたけど、
その限界が見えた会社から、
新しい方向へ動き始めています

「見ればわかる」
「消えない」
「汚れない」
「現場の動きに合わせてすぐ変更できる」

そんな“新しい仕組み”を求めている。

そしてこの課題こそ、
デジアナプリントシステムが生まれる土台になります。

テープやペンキが悪かったわけではありません。
現場が変わった。
働く人も、荷物量も、安全基準も変わった。

古い道具で、今の現場を守れますか?

日本国内のフォークリフト販売台数を、1965年から2011年までグラフ化すると、物流業界の「成長と変化の歴史」がそのまま折れ線に刻まれているのがわかります。

特に
● 1970年代の高度成長期
● 1980年代後半のバブル期
● 1990年代の落ち込みと回復
● 2008年リーマンショックの急落
など、社会の出来事とフォークリフト需要がきれいに連動しています。