
第3回|判断が早い現場は、何が違うのか― 海外と日本の“あるある”から見えてくるもの ―
前回の記事では、安全表示は貼られているのに、
なぜ現場では迷いが生まれるのかを考えました。
今回は少し視点を変えて、「判断が早い現場」と「迷いやすい現場」
この違いを見ていきます。
海外の倉庫を見て感じる、最初の違和感
海外の物流倉庫や工場を見たことがある人は、
こんな印象を持つことが多いはずです。
・表示が少ない
・張り紙がほとんどない
・でも、人の動きが迷わない
「注意喚起が少ないのに、なぜ?」
最初は、そう感じます。
ところがよく見ると、注意書きが少ない代わりに、
行動を迷わせない工夫が徹底されている ことに気づきます。
海外の現場あるある①
「文字で注意しない」
海外の現場では、
・「注意してください」
・「危険です」
といった文章表示は、意外と少なめです。
その代わり、
・進んでいい方向
・立ち止まる位置
・入っていい・いけない境界
が、床や空間そのもので示されています。
人は 「読む」のではなく「見た瞬間に動きを決める」。
この前提で設計されています。
外の現場あるある②
「何も置かない場所」が決まっている
もう一つの特徴は、あえて“何も置かない場所”があることです。
・交差点
・充電エリア
・分岐点
・危険が集中する場所
これらの場所には、
・パレット
・台車
・仮置き物
が集まらない。
理由はシンプルです。
判断が必要な場所では、判断の邪魔になるものを置かない。
日本の現場あるある①
「注意でカバーする」
一方、日本の現場ではどうでしょうか。
・表示が足りない
・伝わっていない
そう感じたとき、多くの場合は、
・朝礼で注意
・張り紙を追加
・管理者が声掛け
でカバーします。
もちろん、現場を守ろうとする行動です。
でも、これが続くと、
・人によって伝え方が違う
・言われた時だけ守る
・結局、属人化する
という状態になりがちです。
日本の現場あるある②
「物が集まる場所ほど危ない」
日本の倉庫・工場では、
・空いている場所
・壁際
・柱の周り
に、自然と物が集まります。
ところが、そこが実は、
・交差点
・充電場所
・危険エリア
だった、というケースは少なくありません。
結果、
・見通しが悪くなる
・ルールが見えなくなる
・判断が遅れる
という連鎖が起きます。
違いは「意識」ではなく「前提」
ここで大事なのは、海外の現場の人の意識が
特別高いわけではない、という点です。
違うのは、
・人は迷う
・人は急ぐ
・人は完璧ではない
という前提に立っているかどうか。
海外では、「迷う前提」で現場が作られている。
日本では、「注意すれば守れる前提」で現場が運用されている。
この差が、判断スピードの差になります。判断が早い現場は、止まりにくい
判断が早いということは、
・立ち止まる時間が短い
・周囲を伺う時間が減る
・指示待ちが起きにくい
ということです。
これは、
・事故が減る
・作業が詰まらない
・トラブル時の初動が早い
という結果につながります。
つまり、
判断が早い現場ほど、止まりにくい
ということです。
次回に向けて
海外と日本の違いは、制度や文化の話ではありません。
現場をどう設計しているかただそれだけです。
次回は、「何も置かない場所」を作ると、なぜ現場が変わるのか
というテーマで、
・AGV
・バッテリー充電
・交差点
など、具体的な場面に踏み込んでいきます。

