
物流現場で最近増えているのが、バース予約システム(ヤード予約)の導入です。
荷主企業はこれを「待機時間の削減」「効率化」という目的で導入しています。
ところが現場から見ると、システム導入後の実態は必ずしもそうなっていません。
予約システムの“本当の狙い”と現実
システム導入の狙いはこうです。
- 混雑時間を分散する
- 作業終了時間を把握しやすくする
- 次の工程計画を立てやすくする
確かに理屈としては正しい。
しかし現場の声は、まったく逆の現象を示しています。
現場の声:待機が増えた
兵庫県の運送会社経営者
「時間指定ができても、予約が満杯になりやすく、結局夕方や夜しか取れない。
予約が取れない日は、直接受付して待つしかない。待機時間は5時間以上になる。」
予約が“枠を確保する仕組み”になっている一方、実際の受け入れ能力とのバランスが取れていないのです。
これでは「効率化」ではなく、荷主都合の時間拘束が強まっているだけです。
更に深刻なのは“待機約束の約束違反”
京都の運送会社も次のように指摘しています。
「予約通りに到着しても、前工程の遅れで待たされる。
渋滞で遅れれば予約が取り消される。荷主の都合だけで動いている。」
そもそも予約は
「現場能力を担保する枠」ではなく「荷主優先の順番取り」にすぎない、
という状況になっています。これは本末転倒です。
コミュニティの声にも現れるリアル
さらにコメント欄でも、同様の不満が多数寄せられています。
- 「予約しても前の積み込みの影響で待たされる」
- 「予約は意味をなしていない」
- 「結局荷主優先でしかない」
- 「ドライバーが効率よく働けていない」
- 「制度はあるのに現場は変わっていない」
など、現実の業務の厳しさを痛烈に表現しています。
なぜ“待機が減らない”のか
この課題は単に予約システムの導入だけでは解決しません。
ポイントはここです。
ルール=システム化しただけで現場の仕組みまで変わっていないという事実。
・受け入れ能力の把握
・時間調整の余裕
・システムと現場の基準が一致していない
このズレが、「待機が減らない」「現場の負担が増える」という現象を生んでいます。
これは、まさに
「ルールを作っただけで現場は変わらない」という、課題そのものです。
現場が止まらないための原点に戻る
常に発生する問題はシステムやルールがあればいいのか?
それとも、人が迷わず動ける現場設計になっているのか?この違いです。
ヤード予約の話は、単なる制度運用の話ではなく、
現場のタイムマネジメントとレベル設計の問題として読めます。
もし倉庫内の作業時間が延び、ドライバーの拘束時間が増え、現場の効率が落ちているのなら、
それはシステムやルールのせいではなく、設計のせいかもしれません。
これはリチウム電池の火災対応でも消火器の見える化でも同じ問いです。
ルールはある。でも人は迷う。
迷わない設計こそ、安全=効率=現場の満足。
そんな現場目線の設計論こそ、これからの物流に必要なのではないでしょうか。


