テープを貼った。
パウチも貼った。
教育もした。

それでも――
現場の行動は、思ったほど変わらなかった。

これは決して、
「現場の意識が低いから」でも
「安全担当者の努力が足りないから」でもありません。

実際、上場企業の工場や物流倉庫でも、
同じ悩みを抱えています。

ルールは「伝えた」だけでは、守られない

多くの安全対策は、こう考えられてきました。

・ルールを決める

・文章にする

・掲示する

・教育する

論理的には、正しい。

しかし現場で起きているのは、こういう世界です。

・忙しい

・急がされる

・人が入れ替わる

・体調や気分に波がある

・判断は一瞬で求められる

この状況で、
「壁のパウチを思い出して行動する」
こと自体が、無理のある設計でした。

行動は「記憶」ではなく「環境」に支配される

人は、頭で理解して動いているようで、
実際には 環境に引っ張られて行動 しています。

・床にラインがあれば、そこを避ける

・色で区切られていれば、立ち止まる

・空間で示されていれば、迷わない

逆に言えば、

・見えなければ、忘れる

・読まなければ、守れない

・判断が遅れれば、事故になる

これは意識の問題ではなく、人間の特性です。

上場企業の安全管理部でも、同じ壁にぶつかっている

私が見学した食品メーカー様の話は、象徴的です。

「このパウチは、私がデザインして全国の倉庫に貼りました。
それまでは、もっとバラバラでしたから」

ここには、確かな改善があります。

  • 表示を統一した
  • ルールを揃えた
  • 管理としては前進した

それでも現場では、

  • 小さくて読まれない
  • 壁が汚れていく
  • 行動は変わらない

管理は進んだ。
でも、安全は思ったほど前進しなかった。

教育を増やすほど、現場は疲れていく

床表示をやめた会社の中には、

・教育時間を増やす

・研修を増やす

・ルール説明を細かくする

という選択をしたところもあります。

しかし結果はどうでしょうか。

・忙しいと忘れる

・新人は覚えきれない

・ベテランは自己流に戻る

教育は大切。でも 教育だけで現場を縛るのは限界がある

「貼る」「教える」以外の選択肢が、存在しなかった

ここが、本質です。長い間、現場には
次の2択しかありませんでした。

貼る

・教える

どちらも間違いではない。
でも、どちらも
行動を支える仕組みではなかった

だから、

・安全担当者は疲弊し

・現場は形骸化し

・上司は「なぜ守られない?」と首をかしげる

このズレが、ずっと解消されなかった。

必要だったのは「意識改革」ではなかった

多くの現場で語られる言葉があります。

「意識を高めよう」
「安全意識を持とう」

でも本当に必要だったのは、意識ではありません。

意識しなくても、自然にそう動いてしまう環境 でした。

まとめ

・行動が変わらなかったのは、人の問題ではない

・情報を増やしても、安全は増えない

・教育だけでは、現場は守れない

・行動は、環境に設計される

ここまでで、ようやく見えてきます。

「貼る」「教える」以外の、第三の選択肢が必要だった」