前回の記事では、
現場の効率を下げている原因が、
人ではなく*配置”にあるかもしれないという話をしました。

そしてその配置は、現場設計の基本そのものでもあります。

では実際に、どこから見直せばよいのでしょうか。

答えはシンプルです。まずは「棚の位置」から見直すことです。

なぜ「棚」なのか

現場の中で、人が一番よくやっている動きは何か。

それは、

  • 取りに行く
  • 置きに行く

この2つです。

つまり、
棚の位置は、人の動きそのものを決めていると言っても過言ではありません。

棚が遠ければ、毎回歩く距離が増えます。
棚が分かりにくければ、毎回探す時間が増えます。
棚の配置が悪ければ、毎回遠回りが発生します。

そしてその一つ一つが、「探す・迷う・止まる」を生み出しています。

「たった数歩」が、現場全体を遅くする

よくあるのが、こんなケースです。

  • よく使う資材が、少しだけ遠い
  • 工具が、1工程離れた場所にある
  • 同じ作業で、毎回数歩移動している

一つひとつは、小さなことです。

ですが、これが積み重なるとどうなるか。

1回の作業で数秒のロスでも、
それが1日で何十回、何百回と繰り返されます。

さらにそれが、

  • 複数人
  • 毎日
  • 何か月も

続くと、かなり大きな時間ロスになります。

つまり、棚の位置のズレは、“見えないコスト”を生み続けている

ということです。

棚は「保管のため」ではなく「動きをつくるため」にある

現場でよくあるのが、

「置けるからここに置いた」
「昔からここにある」

という棚の配置です。

ですが、棚は単なる保管場所ではありません。

棚は、人の動きをつくる“設計の部品”です。

つまり、

  • どこに棚を置くか
  • どの高さに置くか
  • どの順番で並べるか

これによって、

人の動き・作業スピード・ミスの出方まで変わります。

よく使う物ほど、「近く・手前・迷わない位置」に置く

これは現場設計の基本中の基本です。

ですが、意外と徹底されていません。

たとえば――

  • よく使う物が奥にある
  • 重い物が取りにくい位置にある
  • 似たものがバラバラに置かれている
  • ラベルが見づらく、探す必要がある

こうした状態では、

  • 取りに行く
  • 探す
  • 持ち替える
  • 戻る

というムダな動きが必ず発生します。

逆に言えば、

棚の位置と配置を見直すだけで、これらの動きはかなり減らせる

ということです。

「使う人」の視点で棚を見ているか

棚の配置を考えるときに重要なのは、

“誰が使うのか”

という視点です。

たとえば、

  • 補充する人にとって使いやすいのか
  • 実際に作業する人にとって使いやすいのか

この2つは違います。

現場では、

「補充しやすい配置」になっていて、
「使う人にとっては取りにくい」

というケースもよくあります。

ですが、優先すべきは当然、

実際に使う人の動き

です。

ここを間違えると、
現場のムダはなくなりません。

棚を変えるだけで、「探す・迷う・止まる」は減る

棚の位置を見直すと、何が変わるのか。

それはとてもシンプルです。

  • 探さなくなる
  • 迷わなくなる
  • 止まらなくなる

つまり、

第1弾で出てきたムダの動きが、そのまま減る

ということです。

これは教育では実現できません。

なぜなら、
人は忙しくなるほど、自己判断で動くからです。

だからこそ、

動きそのものを変える「設計」が必要になるのです。

現場設計とは、「取りに行く動き」を減らすことでもある

今回のポイントを一言でまとめると、

現場設計とは、“取りに行く動き”を減らすことです。

そのために、

  • よく使う物は近くへ
  • 動線上に配置する
  • 迷わない並びにする
  • 無駄な往復を減らす

こうした見直しを行う。

それだけでも、現場は大きく変わります。

次回予告

では、棚や配置を見直したとしても、
それだけで現場は本当に変わるのでしょうか。

実はここに、もう一つ大きな壁があります。

それは、

「決めた配置が、現場で守られない」という問題です。

次回は、

「動線を見直しても、伝わらなければ現場は変わらない」