
前回の記事では、
現場の効率を下げている原因が、
人ではなく*配置”にあるかもしれないという話をしました。
そしてその配置は、現場設計の基本そのものでもあります。
では実際に、どこから見直せばよいのでしょうか。
答えはシンプルです。まずは「棚の位置」から見直すことです。
■ なぜ「棚」なのか
現場の中で、人が一番よくやっている動きは何か。
それは、
- 取りに行く
- 置きに行く
この2つです。
つまり、
棚の位置は、人の動きそのものを決めていると言っても過言ではありません。
棚が遠ければ、毎回歩く距離が増えます。
棚が分かりにくければ、毎回探す時間が増えます。
棚の配置が悪ければ、毎回遠回りが発生します。
そしてその一つ一つが、「探す・迷う・止まる」を生み出しています。
■ 「たった数歩」が、現場全体を遅くする
よくあるのが、こんなケースです。
- よく使う資材が、少しだけ遠い
- 工具が、1工程離れた場所にある
- 同じ作業で、毎回数歩移動している
一つひとつは、小さなことです。
ですが、これが積み重なるとどうなるか。
1回の作業で数秒のロスでも、
それが1日で何十回、何百回と繰り返されます。
さらにそれが、
- 複数人
- 毎日
- 何か月も
続くと、かなり大きな時間ロスになります。
つまり、棚の位置のズレは、“見えないコスト”を生み続けている
ということです。
■ 棚は「保管のため」ではなく「動きをつくるため」にある
現場でよくあるのが、
「置けるからここに置いた」
「昔からここにある」
という棚の配置です。
ですが、棚は単なる保管場所ではありません。
棚は、人の動きをつくる“設計の部品”です。
つまり、
- どこに棚を置くか
- どの高さに置くか
- どの順番で並べるか
これによって、
人の動き・作業スピード・ミスの出方まで変わります。
■ よく使う物ほど、「近く・手前・迷わない位置」に置く
これは現場設計の基本中の基本です。
ですが、意外と徹底されていません。
たとえば――
- よく使う物が奥にある
- 重い物が取りにくい位置にある
- 似たものがバラバラに置かれている
- ラベルが見づらく、探す必要がある
こうした状態では、
- 取りに行く
- 探す
- 持ち替える
- 戻る
というムダな動きが必ず発生します。
逆に言えば、
棚の位置と配置を見直すだけで、これらの動きはかなり減らせる
ということです。
■ 「使う人」の視点で棚を見ているか
棚の配置を考えるときに重要なのは、
“誰が使うのか”
という視点です。
たとえば、
- 補充する人にとって使いやすいのか
- 実際に作業する人にとって使いやすいのか
この2つは違います。
現場では、
「補充しやすい配置」になっていて、
「使う人にとっては取りにくい」
というケースもよくあります。
ですが、優先すべきは当然、
実際に使う人の動き
です。
ここを間違えると、
現場のムダはなくなりません。
■ 棚を変えるだけで、「探す・迷う・止まる」は減る
棚の位置を見直すと、何が変わるのか。
それはとてもシンプルです。
- 探さなくなる
- 迷わなくなる
- 止まらなくなる
つまり、
第1弾で出てきたムダの動きが、そのまま減る
ということです。
これは教育では実現できません。
なぜなら、
人は忙しくなるほど、自己判断で動くからです。
だからこそ、
動きそのものを変える「設計」が必要になるのです。
■ 現場設計とは、「取りに行く動き」を減らすことでもある
今回のポイントを一言でまとめると、
現場設計とは、“取りに行く動き”を減らすことです。
そのために、
- よく使う物は近くへ
- 動線上に配置する
- 迷わない並びにする
- 無駄な往復を減らす
こうした見直しを行う。
それだけでも、現場は大きく変わります。
■ 次回予告
では、棚や配置を見直したとしても、
それだけで現場は本当に変わるのでしょうか。
実はここに、もう一つ大きな壁があります。
それは、
「決めた配置が、現場で守られない」という問題です。
次回は、
「動線を見直しても、伝わらなければ現場は変わらない」


