■ なぜ人が辞めるのか?

物流現場で人が定着しない理由は、必ずしも「給与が低いから」「労働時間が長いから」だけではありません。
多くのスタッフに共通しているのは、“安心して働けない” という感覚です。

・フォークリフトや台車との接触リスクが常にある

・ルールが守られたり守られなかったりで不公平感がある

・注意や叱責ばかりで、気持ちがすり減る

この「不安」が積み重なって、やがて離職につながっているのです。

■ 不安が消えれば定着につながる

人が安心して働ける環境なら、長く勤めることができます。
長く勤めればスキルが上がり、職場に前向きな雰囲気が生まれます。

その結果、

・作業は安全で効率的になる

・ミスや事故が減る

・管理者の叱責や教育負担が減る

つまり “安心のある職場=人が自然に定着する職場” なのです。

■ 安心の積み重ねが信頼を生む

定着したスタッフが増えると、現場全体の経験値が底上げされます。
新人教育もスムーズになり、改善のアイデアも出やすくなる

そして、その成果は現場の外へと広がります。

・荷主からの信頼

・納品先からの信頼

・地域や社会からの信頼

「人が安心して働ける現場」は、取引先にとっても信頼できるパートナーに映るのです。

■ 仕組みで不安をなくす

安心を実現するには、口頭で注意や叱責を繰り返すだけでは不十分です。
重要なのは、“仕組みとして不安を減らす” こと。

そのための一つの答えが「わかる化サイン」です。

・誰が見てもルールがわかる

・守るべき行動が自然に引き出される

・不一致や不公平感を減らす

これこそが、注意喚起を超えた「不安をなくす仕組み」なのです。

■ まとめ

人が辞めるのは待遇の問題だけではなく、安心できない職場環境が大きな要因です。
安心を与える仕組みを整えれば、人は定着し、スキルが積み上がり、現場は前向きに変わっていきます。
その積み重ねが、結果として事故削減・効率化・信頼につながっていくのです。

次回は、「叱責がなぜ事故を減らさないのか」という視点から、さらに掘り下げて考えていきます。