■ 「ルールを守らない人が多い」と感じる現場で起きていること
「注意しても直らない」「ルールを守らない人が多い」――
そんな声を多く聞きます。
でも、本当に“人”が悪いのでしょうか?
実際の現場を見てみると、守るための仕組みそのものが整っていないことがほとんどです。
たとえば、危険個所に注意喚起シールを貼ったとしても、
それをリフトが走行中に認識できるサイズや位置で設計されているケースは、極めて少ないのが実情です。
■ 現場任せで貼られる注意シールの現実
多くの荷役現場では、危険箇所が見つかると担当者がネットでシールを探し、
「とりあえずここに貼ろう」と設置しています。
しかし、そのシールが剥がれやすい、すぐに汚れるという問題はさておき、
小さすぎる、目立たないなど、“効果があるのか?”という本質的な検証は後回しにされています。
それを見た人は本当に危険を察知できるでしょうか?
たとえば、時速7kmで走行するフォークリフトのドライバーから、そのシールが見えるのか?
リフターの目線の高さを考えると、どの角度なら効果があるのか?
人とリフトが交差する場所に貼るとき、どんな色やデザインなら瞬時に注意を引けるのか?
――こうした視点で議論された上で貼られている現場は、ほとんどありません。
■ “守らせる”ではなく、“守れる”仕組みづくりへ
私たちは、そこにこそ本質的な改善の余地があると考えています。
危険箇所を「わかる化」する――
そのためには、単にサインを貼ることではなく、
現場スタッフ自身が考え、デザインし、位置とサイズを決めるプロセスこそが重要です。
つまり、「表示物をつくる活動」そのものが、
ルールを浸透させる仕組みになるのです。
■ 現場を巻き込む「ルール浸透のサイクル」
導入後には、スタッフを集めて効果を検証し、
見え方・伝わり方に課題があれば「わかる化サイン」を見直す。
この活動を続けることで、
「他の場所にもわかる化が必要では?」という声が自然に上がるようになります。
やがて、それが安全会議や改善提案のテーマになり、
現場が自ら考え、管理者が実行するという、
これまでとは逆の流れが生まれるのです。
■ まとめ
ルールを“守らせる”時代は終わりました。
これからは、誰もが自然に守れる環境をどう設計するかが問われます。
「わかる化サイン」は、単なる表示ではなく、
現場が主体的に安全文化を育てるための“仕組み”そのものです。
