最近、物流倉庫の新人研修を見学する機会がありました。
正直なところ、少し拍子抜けしました。

みんな和気あいあい。
どこか“部活動の延長”みたいな空気感。
新人に悪気はないのですが、緊張感が薄い。

研修担当者の方に聞くと、苦笑しながら言われました。
「真面目に聞いてくれないんですよね…」

とはいえ、研修というのは静かな環境で、
ゆっくり説明できる“理想の空間”です。
一方、実際の倉庫はまったく違います。

フォークリフトが走り、
電話が鳴り、
指示が飛び交い、
納期に追われ、
現場は常に動いている。

新人が研修を終えて現場に出た瞬間、
あの落差に戸惑うのは、むしろ当然なのかもしれません。

■「叱られて育つ」は通用しない

40代・50代の教育担当者から、よくこんな声を聞きます。

「叱っても響かない」
「反応が読めない」
「何を考えているのか分からない」

注意すると、うつむいたり、涙ぐんだり。
その反応に、どう接していいか分からなくなる。

今の若い世代は、
学生時代から“叱られる経験”が少ないまま社会に出てきます。

私自身、28歳の中途採用社員を3か月で失ったことがあります。
「メンタルがやられました」と言われた時、
正直、その原因が自分でも分かりませんでした。

仕事の内容ではなく、
“職場の空気”に馴染めなかったのかもしれません。

■ 新人は「守らない」のではなく“見えていない”

多くの新人は、ルールを守ろうとしています。
ただ、守るために必要な情報が見えていないだけなんです。

・どこで止まるのか
・どこを歩くべきか
・どこが危険なのか
・荷物をどこへ置くのか

それを知らずに行動し、
結果として失敗し、怒られる。

新人が覚えるのは
「何が悪かったか」ではなく
「怒られた」という記憶。

それでは定着しません。

 “叱らなくても伝わる現場”にできるか?

だからこそ必要なのは、
教える量ではなく、迷わない環境です。

・STOPマークを床に印刷する
・歩行帯とリフト通路を色で分ける
・荷物置場を図形で示す
・危険方向に矢印を出す

頭ではなく、
視界で理解できる現場。

この状態になるだけで、
新人は自分で正しい行動を選べるようになります。

そして面白いことに、
この“わかる化”はベテランにも効きます。

新人がサインを見て正しく動いている姿を見て、
ベテランの意識が変わるのです。

気まずい注意や、嫌われる叱責も減ります。

■ 新人定着は“人”の問題ではなく“環境”の問題

新人が辞める理由は、
能力が低いからではありません。

「自分は向いていない」と感じてしまう環境だからです。

新人が安心して働き、
ベテランが余裕を持って関われる——

その土台づくりこそ、
これからの物流現場に求められているのではないでしょうか。

その第一歩が、
デジアナプリントシステムによる“わかる化サイン”です。