■ なぜシートシャッターが使われるのか?

倉庫や工場の出入口に設置されるシートシャッター。
通常のシャッターを開け放したままにすると、ほこりの侵入・温度の不安定化・虫の混入といった課題が起こります。
また、最近ではエアコンを設置する現場も増え、冷気・暖気を逃さず電気代を抑える目的でも導入が進んでいます。

さらに食品・精密機器を扱う現場では、品質管理の要としてシートシャッターは欠かせない存在となっています。

■ 便利さの裏に潜むリスク

しかし、この便利なシートシャッターは現場に新しいリスクや不満を生む設備でもあります。

・視界が悪い:透明タイプなら見やすいが、色付きタイプは死角になりやすい

・開閉の手間:ボタンを押す・紐を引く動作が追加される

・作業効率の低下:特にリフト作業者にとって「面倒」になりやすい

・繁忙期の危険度アップ:効率重視でルールが守られにくくなる

実際に、「センサーがあるはず」と思い込んで接触事故が起きたり、
スイッチ操作を省略しようとしてリフトが接触するケースも発生してるよです。

また、シャッター下を通過するときは「爪を下ろす」「上部に注意」といった既存ルールがあります。そこに「開閉動作」が加わるため、注意力が分散し、危険度が増すのです。

■ 典型的なヒヤリ・ハット

・紐を引くために片手運転 → バランスを崩しヒヤリ

・歩行者が「これ必要?」と判断して操作を省略 → リフトと接触寸前

・自動開閉の時間設定が現場の実態に合わず、「閉まるのが早すぎる」「逆に遅い」と不満が出る

・シャッター下で立ち止まった人に、シートが自動で降りて接触する事故 → 「立ち止まり禁止」ルールの必要性

■ 立場ごとの“思っていること・感じていること”

・リフト作業者
「ヒヤッとすることがよくある」
「忙しい時は、開閉のリードタイムを短くしたらいいんじゃない??」

・歩行者・パートスタッフ
「怖い怖い、シートが上がるといきなりリフト・・・」
「シートに光が当たると、反射して向こうが見にくいのよね」

・管理者
「リフターには上がったのを確認してから、動けと言ってもなかなか・・・」
「左右確認、指差し確認はいつになったらできるかな?・・・」

・経営層
「品質や温度管理には必要不可欠。ただ事故が増えれば労災や信頼失墜につながる」
「導入コストと運用の不満、どちらも頭が痛い」

■ なぜ現場で不一致が起きるのか

シートシャッター導入時に話し合いが行われますが、実際の現場では次のような問題が生じます。

・荷物の種類や作業内容が変化し、当初の設定が合わなくなる

・自動開閉のスピードや時間設定に対し、現場ごとに「速すぎる」「遅すぎる」と不満が出る

・上司に改善を訴えても「決められない」と返され、現場のモヤモヤが蓄積する

結果として、「守りたいルール」と「守られない現実」のギャップが広がり、ヒヤリ・ハットや人間関係の不満につながっていきます。

■ 解決の方向性

・サインでのルール徹底
 → シャッター前に「STOPライン」や「立ち止まり禁止」の表示を設置

・操作方法のわかる化
 → 「リフトから降りて操作」「片手操作禁止」をピクトサインで表現

・現場の声を反映した設定
 → 自動開閉の時間・スピードを定期的に見直し、不満を放置しない

・透明度の選択
 → 温度管理や外観の問題と、安全性を両立できるバランスをとる

■ まとめ

シートシャッターは、品質や温度管理の面では欠かせない設備です。
しかし、視界の悪さ・開閉の手間・ルールの複雑さが重なり、事故リスクや現場の不満を増大させる要因にもなります。

だからこそ、「安全に守れる仕組み」をサインとルールで整えることが欠かせません。
注意や叱責ではなく、わかる化による自然な行動の仕組み化こそが、シートシャッターのリスクを減らし、効率と安全を両立させるカギとなります。