■ 3PL倉庫の特徴とリスクの背景
物流のアウトソーシング先として利用される「3PL倉庫」では、パートスタッフや短期派遣スタッフが多く働いています。
その結果、人の出入りが多く、歩行者が絶えない現場が日常です。
このような環境では、交差点でのフォークリフトと歩行者の接触リスクが一層高まります。特に「初めての現場」「日替わりのシフト」に入るスタッフにとって、どこを歩けば安全なのかがわかりにくいことが多いのです。
■ 「止まらせる」だけでは守れない
従来の安全対策は、交差点に「止まれ」と表示をして、フォークリフトに一時停止を徹底させるものでした。
しかし、歩行者が多い現場ではそれだけでは不十分です。
・フォークリフトが止まっても、死角から歩行者が出てくる
・歩行者側も、作業に集中していて車両の接近に気づかない
・ときには交差点が“人の横断ポイント”になり、事故の温床になる
つまり、「止まらせる」だけの対策では、歩行者の安全を確保できないのです。
■ 必要なのは「人を守る導線設計」
3PL倉庫における安全のカギは、歩行者の動線そのものを設計し直すことにあります。
・交差点を避けて歩行者導線を設ける
・歩行帯を明確に区画し、通路を“人優先”にデザインする
・バリケードや視覚的サインで「ここを歩けば安全」と示す
「止まれ」のサイン表示だけではなく、人の流れを分けて設計することが絶対条件です。
■ 立場ごとの“思っていること・感じていること”
・パートスタッフ
「どこを歩けば安全なのか分かりにくい」
「フォークリフトが後ろからくるとドキッとする」
・フォークリフト運転者
「効率良く、安全に・・・わかるけど。。。」
「段取り悪くない???」
・現場管理者
「まだ、荷物が増えるのか・・・」
「注意ばかりで嫌われ役になってしまう」
・経営層
「事故が起きれば労災・損害賠償でコストが膨らむ」
「パートが辞めれば採用や教育のコストがかさむ」
「安全性を示さなければ荷主からの信頼も失う」
■ わかる化サインによる効果
・初めて現場に入るパートや派遣スタッフでも、迷わず安全ルートを選べる
・管理者が「そこは危ないから歩かないで!」と注意する負担が減る
・フォークリフト運転者も「人がどこから現れるかわからない」という不安が軽減される
結果として、事故リスクの低下と、人間関係の改善につながります。
■ まとめ
3PL倉庫は人が多く動くからこそ、交差点のリスクが高まります。
「止まらせる」安全対策は必要ですが、それだけでは不十分です。
これからの3PL倉庫に求められるのは、“人を守る導線設計”と、それを現場で浸透させるわかる化サインです。
さらに大切なのは、注意する側・される側の考えの不一致を無くし、互いに認め合う人間関係づくりです。
ルールを自然に守れる仕組みを整えることで、スタッフ同士が衝突することなく協力し合い、安全で働きやすい現場が実現します。
