
■ 内製化の原点は「塗装」だった
内製化の話をすると、
多くの人は「テープ」や「パウチ」を思い浮かべます。
でも、本当の原点はそこではありません。
内製化の原点は、塗装でした。
半年に一回、あるいは一年に一回。
職長の号令で人が集まり、休日にみんなで床を塗り直す。
作業が終われば、自然と酒の席が始まり、
こんな会話が交わされていたそうです。
「ここはリフトが多いな」
「この角は危ない」
「次はこうしよう」
塗装は、単なるメンテナンス作業ではなく、
現場のルールを共有する“行事” でした。
誰が教えるでもなく、誰が注意するでもなく、
「みんなで決めたルール」が自然に浸透していく。
これが、かつての内製化の姿です。
■ 世の中の変化とともに、内製化は崩れた
しかし、時代は変わりました。
- 休日出勤が難しくなった
- 人が集まらなくなった
- 働き方が多様化した
- 酒の席そのものが減った
こうした変化の中で、
“集まって塗る”という内製化イベント は、少しずつ姿を消していきます。
内製化が悪かったわけではありません。
時代に合わなくなっただけ です。
■ 代わりに登場したのが、テープとパウチだった
塗装イベントがなくなったあと、
現場は何もしなかったわけではありません。
- とりあえずテープを貼る
- 剥がれたら貼り替える
- 説明できないからパウチを貼る
これは、現場が考えた「次善の策」です。
しかし、ここから少しずつ歯車がズレ始めます。
- テープはすぐ汚れる
- 剥がれ跡が残る
- パウチは読まれない
- 説明が前提になる
やがて現場からは、こんな声が出てくる。
「どうせ剥がれるから、もういいでしょう」
これは、やる気の問題ではありません。
内製化が“作業”に変わってしまった結果 です。
■ 内製化は「なくなった」のではなく、「形を失った」
ここで大事なことがあります。
内製化は、なくなったわけではありません。
- テープを貼る
- 剥がす
- 掃除する
- 説明する
形を変えて、ずっと続いている のです。
ただしそれは、
- みんなで共有する内製化
ではなく - 個人に負担が集中する内製化
になってしまった。
だから、疲れる。
続かない。
形骸化する。
■ 今、求められているのは「内製化の再定義」
では、内製化そのものが悪いのか。
答えは、違います。
必要なのは、
今の時代に合った内製化への“再定義” です。
- 集まらなくていい
- 休日を使わなくていい
- 説明しなくていい
- 失敗してもやり直せる
それでも、
- ルールは伝わる
- 行動は変わる
- 現場はきれいに保てる
そんな内製化。
■ デジアナプリントシステムが目指している内製化
デジアナプリントシステムは、
「昔に戻ろう」と言っているわけではありません。
むしろ逆です。
かつて塗装が担っていた、
- ルールの可視化
- 現場の合意形成
- 行動の統一
これを、今の働き方・今の現場に合う形で再現する
ための仕組みです。
集まらなくても、
話し合わなくても、
見ればわかる。
それが、デジアナによる内製化です。
■ 第6回まとめ
- 内製化の原点は、塗装だった
- 内製化は時代とともに崩れた
- テープとパウチは応急処置だった
- 内製化は、今も形を変えて続いている
- 必要なのは「やめる」ことではなく「再定義」
次回、第7回では、
「それでも外注の方が安心では?」
という経営者の視点から、
内製化と外注の本当の役割分担を整理します。

