2026年1月6日早朝、群馬県玉村町の運送会社敷地内で、フォークリフトが横転し、運転していた57歳の男性が下敷きになって亡くなる事故がありました。報道では、砂利の上でフォークリフトがスタック(空転して動けない状態)し、居合わせた従業員がトラックで牽引して助けようとしたところ、フォークリフトが横転したとされています。警察が原因を調べています。
まず亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
そしてこのニュース、物流現場の人ほど「起こり得る」と感じたんじゃないでしょうか。
🔳なぜ、こういう事故が起きやすいのか
私はフォークリフトの“事故調査の専門家”ではありません。ただ、現場の「ルールが続かない」「迷いが出る」をサインの視点で見ていると、こういう事故には共通の構造があると感じます。
1)“復旧作業”は非定常で、手順が抜けやすい
荷役や運転そのものはルール化されていても、
「スタックした」「動かない」「急いでどかしたい」みたいな イレギュラー(非定常) になると、急に“即興”になりやすい。
しかも早朝は人も少なく、判断者が近くにいない状況も起こりがちで、余計に即断になりやすい。
2)牽引は力がかかる方向が変わりやすく、横転リスクが跳ね上がる
フォークリフトは重心が高く、路面条件や引っ張り方(角度・速度・牽引点)で挙動が変わります。
砂利などの不整地でスタックしている時点で、姿勢が崩れていたり、片側だけ空転していたりして、余計に不安定になりやすい。
3)「人が近い」状態で進むと、最悪の形になりやすい
復旧作業はどうしても人が寄ります。
「見てる」「声をかける」「誘導する」「乗ったまま」「近くで確認する」…
この“人が近い”が、横転した瞬間に致命傷につながりやすい。
実際、労働局の注意喚起でも、フォークリフトの転倒・横転は運転者が放り出され、下敷きになるリスクが高いこと、シートベルト着用の重要性が繰り返し示されています。
🔳今日から現場でできる「復旧作業」3つのルール
ここ、難しい設備投資の話じゃないです。決めるだけで事故確率が下がります。
① まず止める:復旧は“作業”として扱う(荷役の延長にしない)
・スタック=その時点で通常作業は終了
・まず責任者(作業指揮者)へ連絡
・“助けようとして即牽引”を禁止(例外は手順書に寄せる)
② 近づけない:立入禁止エリアを作ってから動かす
・復旧の周りは、最初に立入禁止(コーン・バー・ロープ)
・誘導者も「立つ位置」を決める
・近くで見ない/覗かない/挟まれ位置に立たない
③ 引っ張らない前提で考える:やるなら「メーカー手順+適切な装備」
牽引そのものを否定したいわけではありません。ただ、やるなら最低限、
- 取扱説明書・社内手順に従う(牽引点、角度、速度)
- ロープやフックは“その場のありもの”を使わない(定格・点検)
- 不整地なら無理をしない(状況次第で専門業者も選択肢)
「とりあえずトラックで引く」は、現場あるあるですが、ここが一番危ない分岐になりやすいです。
🔳わかる化(見える化)で効くポイント
復旧作業は、教育よりも「迷わない仕組み」が効きます
「スタック発生時の連絡フロー」を掲示(誰に電話、誰が判断)
・「復旧作業は立入禁止を作ってから」をイラストで掲示
・砂利・未舗装エリアに 「スタック注意」「速度」「進入ルール」 を明示
・“即興牽引禁止” をルールとして見える場所に出す(朝礼だけで終わらせない)
資格まとめ
この事故は原因調査中ですが、構造としてははっきりしています。
非定常(復旧作業)× 不整地 × 即興対応 × 人が近い
この条件が重なると、事故が一気に“取り返しがつかない形”になりやすい。
だからこそ、物流現場では「運転・荷役」だけでなく、復旧作業のルール化が必要だと思います。
参考(報道・資料)
- 事故の概要(玉村町の運送会社敷地内、スタック後の牽引中に横転、原因調査中)
- フォークリフト横転時のリスク・シートベルト着用の重要性(労働局資料)

