■ 「言いたいけど言えない」が一番のリスク

危ないと思っても声をかけられない。
そんな瞬間、ありませんか?
「またあの人に注意したら、機嫌が悪くなるかも」
「派遣さんだから言いづらい」
「新人だけど、年上だから言いにくい」
――安全管理者の多くが感じている、現場特有の葛藤です。

事故が起きる前には、必ず“違和感のサイン”があるもの。
でも、その違和感を口にできない雰囲気があると、
ヒヤリハットが表面化せず、結果として事故の芽が残ってしまいます。

■ 「言えない職場」は、悪い人がいるわけじゃない

注意できない理由は、人間関係の問題ではなく“環境の問題”です。
たとえば、作業ルールが曖昧で、判断が人によって違う。
そんなとき、「誰が正しいか」ではなく「誰の言い方が強いか」で決まってしまうことがあります。
これでは、注意する側もされる側も気持ちがすれ違い、
「もう言わないほうがいい」という空気が生まれてしまいます。

でも本当は、みんな安全でいたいと思っている。
誰も危険を放置したいわけではありません。
ただ、「伝え方」が難しくなっているだけなのです。

■ 注意しなくても伝わる環境を

理想は、注意しなくても“自然に正しい行動が取れる環境”。
たとえば、止まるべき場所に“止まる”サインが床にあり、
作業の順番や通行ルールが“見てわかる”状態なら、
注意は「言葉」ではなく「環境」がしてくれます。

わかる化サインは、単に目印を貼るものではなく、
“コミュニケーションを支える仕組み”です。
言葉の代わりに現場が伝えてくれる。
それが、注意のいらない職場づくりの第一歩です。