
視覚に飛び込んでくるデザインが、
「何をしてはいけないのか」
「どうすれば良いのか」
を一目で理解できる。
それが、見ればわかる化サインです。
単色の塗装やラインテープ、トラテープでも、
貼ったり塗ったりする人は、
「なぜここに必要なのか」を理解しています。
しかし、その意味が
現場に立つすべての人に共有されているか というと、
決してそうではありません。
結局のところ、
「ここは立ち入り禁止です」
「ここでは徐行してください」
「ここで左右確認をしてください」
と、説明が必要な表示 になってしまいます。
そして現場では、時間が経つにつれて
こんな声が聞こえてきます。
「聞いていませんでした」
「そんなルール、知りませんでした」
これは、現場の意識が低いからではありません。
表示が“説明を前提とした形”になっているだけ なのです。
■ 人は「読んでから」ではなく「見てから」動いている
物流現場で人の動きをよく観察すると、
ある共通点に気づきます。
人は、注意書きを読んでから行動しているわけではありません。
まず目に入るのは、
- 足元の色
- 線や形
- 区切られたエリア
そして、そこに書かれた短い言葉で、行動を確定 しています。
つまり、
- 床の表示で「気づき」
- 文字で「迷いをなくす」
この順番ができていれば、考えなくても正しい行動が取れる。
これが、現場の実態です。
■ 色や線だけでは、ルールは完成しない
たとえば、ゼブラゾーンを黄色い線だけで区切った場合。
- 何となく危なそう
- 何か置いたらダメそう
という印象は伝わります。
しかし、
- 駐車禁止なのか
- 物置禁止なのか
- 一時的ならOKなのか
は分かりません。
ここで
「駐車禁止」「物置禁止」
という短い文字が入ることで、
次に取るべき行動が一瞬で決まります。
アイコンや色は「気づき」。
文字は「判断の確定」。
どちらが欠けても、
現場では迷いが生まれます。
■ 避難経路サインが、すべてを証明している
この考え方は、
決して新しいものではありません。
私たちはすでに、避難経路の表示 で同じことを実現しています。
床に大きく示された進行方向。
緑色で「安全」を伝える配色。
そして「避難経路」「避難経路に物を置かないで」という短い文字。
非常時でも、誰かに説明されなくても、考えなくても、体が自然に動く。
それは、行動が「意識」ではなく
足元の情報と短い言葉 によって
導かれているからです。
■ 見ればわかる化サインとは何か
見ればわかる化サインとは、
- 派手に目立たせることではありません
- ルールを押し付けることでもありません
説明をしなくても、注意をしなくても、怒らなくても、
正しい行動が取れてしまう状態 を空間そのものに用意することです。
人を変えるのではなく、迷わない環境を作る。
そのために、
- 色
- 形
- アイコン
- そして短い文字
を一体で設計する。
これが、私たちが考える「見ればわかる化」です。
■ この考え方から生まれたのが、デジアナプリントシステム
現場では、ルールが変わり、レイアウトが変わり、人も入れ替わります。
だから表示も、変われること が前提でなければ意味がありません。
貼り替えられる。
変更できる。
剥がしたい時には、きれいに剥がせる。
そのうえで、床や壁を
「掲示板」ではなく「ルールそのもの」にする。
この発想から生まれたのが、デジアナプリントシステムです。
■ まとめ
- 行動は、意識だけでは変わらない
- 行動は、足元の情報で決まる
- 色や形だけでは不十分
- 短い文字が、判断を完成させる
- 見ればわかる化は、すでに避難経路で証明されている

