■ 物流改革が本格的に進む2025〜2026年
国が推進する「物流革新に向けた政策パッケージ」を受け、
2025年4月から“努力義務”が、
そして 2026年4月から一定規模以上の荷主企業に対して “義務化” が始まります。
この制度の中心に位置づけられているのが
物流統括管理者(Chief Logistics Officer:CLO) です。
まず押さえておきたいのは、
この制度は “安全の強化” を直接の目的としたものではない ということです。
制度の目的は明確にこう定められています。
- 物流の非効率(ボトルネック)を改善する
- 荷主と物流事業者の連携不足をなくす
- サプライチェーン全体を「企業責任」として管理する
- 持続可能な物流体制(働き方・適正運賃)を整える
つまり、物流統括管理者は「効率」と「最適化」の責任者です。
■ しかし実務では、安全管理者と交わる領域が多い
制度上は“効率の責任者”である物流統括管理者ですが、
実際の業務は現場の安全管理とも深く関わる内容になります。
理由はシンプルで、
物流の効率化で手をつけるのは、
・動線の整理
・交差ポイントの解消
・待機・滞留の削減
・荷役手順の標準化
・作業区画の明確化
これらはすべて 事故の起点そのもの だからです。
制度の目的には“安全”とは書かれていないものの、
結果として
・衝突リスクの低減
・焦りや混雑によるヒューマンエラーの減少
・情報不足によるミスの削減
など、現場の安全性向上につながる動きと連動します。
ここが、現場の安全管理者との連携のポイントになります。
■ 物流統括管理者と安全管理者の役割整理
制度的には、両者は明確に別の役割を持ちます。
● 物流統括管理者(制度側の定義)
・企業の物流の最適化を担当
・荷主との調整・計画策定
・ボトルネックの改善
・輸送手段の見直し
・サプライチェーン全体の管理
● 安全管理者(現場の役割)
・事故・ヒヤリハットの分析
・安全教育・指導
・危険箇所の改善
・現場の行動ルールの徹底
・法令遵守(労働安全衛生関連)
一見すると全く違った仕事になりますが業務で扱う“現場の要素”は重なっています。
だからこそ、
制度が進むほど「協働の必要性」が高まるのです。
■ 協働に必要なのは「現場の共通言語」
物流統括管理者が描く計画は、
現場スタッフと“同じ理解”で実行されて初めて成果が出ます。
しかし現場には、
・ベテラン
・新人
・派遣
・外国人スタッフ
多様な人材が働いており、言語・経験値・価値観がバラバラです。
ここで必要となるのが
わかる化サイン(デジアナプリントシステム)です。
実務では“現場を統一するためのツール”が必要となります。
● わかる化サインが機能する理由
・STOP表示は「人とリフトの相互停止」をイラストで示せる
・パレット置場は「向き・枚数」を誤りなくゼロ秒で理解できる
・歩行帯は「物置き禁止」「リフト侵入禁止」を明確にできる
・イラスト・多言語表記で外国人スタッフにも即伝わる
制度が求める“標準化”を、
言語や教育ではなく 環境で実現する仕組み です。
■ まとめ
物流統括管理者制度は、国が本気で物流を最適化しようとしている改革です。
安全のための制度ではありません。
しかし実務では、
物流統括管理者が改善する領域と、
安全管理者が守るべき領域が自然に重なります。
だからこそ――
安全管理者が制度を理解し、協働できる環境づくりが必要。
そしてその橋渡し役となるのが
わかる化サインです。
制度対応と安全強化を同時に進めるための、
“現場をひとつにする共通言語”として、
これからさらに重要性が高まります。


