第4回|「何も置かない場所」が、なぜ現場を守るのか― 判断のスピードを奪う“見えない障害物” ―

前回、判断が早い現場は止まりにくい、という話をしました。

では、判断が早い現場は何をしているのでしょうか。

特別なAIや高度なシステムでしょうか。

いいえ。 実は、とてもシンプルなことです。「何も置かない場所」を決めている。

これだけです。

判断が必要な場所は、どこか

工場や倉庫で判断が必要になるのは、

・交差点

・分岐点

・停止線

・充電エリア

・立入境界

つまり、動きが変わる場所です。ここで一瞬でも迷うと、

・フォークリフトが止まる

・人が立ち止まる

・目線が泳ぐ

・指示待ちが発生する

この「一瞬」が積み重なると、現場は確実に遅くなります。

日本の現場で起きがちなこと

多くの倉庫や工場では、

・ちょっと空いているスペース

・壁際

・柱の横

に自然と物が集まります。

・空パレット

・台車

・仮置き資材

・返却待ちの荷物

そして、それが偶然にも

  • 交差点の近く
  • AGVの通過点
  • 充電設備の周辺

に重なります。

その結果、

・見通しが悪くなる

・足元の表示が隠れる

・どこまで入ってよいか分からなくなる

判断材料が減るのです。

海外の現場がやっている、単純な工夫

海外の物流倉庫では、

・充電エリアの周囲

・交差点

・危険が集中する場所

には、意図的に「何も置かない」というルールがあります。

理由は単純です。判断が必要な場所では、判断の邪魔になるものを排除する。

れだけです。

注意書きを増やすのではなく、迷う要素を減らす

リチウムイオン電池とAGVの時代に

最近の倉庫や工場では、

・AGVの導入

・自動搬送

・リチウムイオン電池の充電設備

が増えています。

これらは便利です。

しかし同時に、

・見えないリスク

・想定外の停止

・熱や発火のリスク

も持っています。もし充電エリアの周囲に

・可燃物

・梱包材

・パレット

が積まれていたらどうなるでしょうか。

事故が起きたとき、被害は拡大しやすくなります。

つまり、「何も置かない場所」を作ることは、
安全だけでなく、被害拡大を防ぐ設計でもある。

判断を奪うのは、情報不足ではなく“情報過多”

現場が迷う原因は、

・表示が足りないからではなく、

・物が多すぎるから

・視界が多すぎるから

というケースも少なくありません。

人は、

・余計な情報が減るほど

・判断が早くなる

これは心理学でもよく知られている事実です。

「何も置かない」は、管理の放棄ではない

ここで誤解されやすいのが、「何も置かない=スペースの無駄」という考え方です。

しかし実際は逆です。

・判断が早くなる

・事故が減る

・作業が止まりにくくなる

結果として、

全体の効率が上がる。

スペースを使っているのではなく、時間を守っているのです

現場が止まるとき、何が起きているのか

現場が止まる瞬間には、

・迷い

・不安

・指示待ち

・責任の所在の確認

が発生しています。

それは、判断材料が足りない
もしくは判断材料が多すぎる、どちらかです。

「何も置かない場所」は、この迷いを減らします。

次回に向けて

では、

・何を置かないべきなのか

・どこを“空ける”べきなのか

・どうすれば自然に守られるのか

次回は、具体的な「空ける設計」の考え方を掘り下げます。

AGV・充電エリア・交差点を例に、実際にどう考えるべきかを整理します。