
テープを貼った。
パウチも貼った。
教育もした。
それでも――
現場の行動は、思ったほど変わらなかった。
これは決して、
「現場の意識が低いから」でも
「安全担当者の努力が足りないから」でもありません。
実際、上場企業の工場や物流倉庫でも、
同じ悩みを抱えています。
■ ルールは「伝えた」だけでは、守られない
多くの安全対策は、こう考えられてきました。
・ルールを決める
・文章にする
・掲示する
・教育する
論理的には、正しい。
しかし現場で起きているのは、こういう世界です。
・忙しい
・急がされる
・人が入れ替わる
・体調や気分に波がある
・判断は一瞬で求められる
この状況で、
「壁のパウチを思い出して行動する」
こと自体が、無理のある設計でした。
■ 行動は「記憶」ではなく「環境」に支配される
人は、頭で理解して動いているようで、
実際には 環境に引っ張られて行動 しています。
・床にラインがあれば、そこを避ける
・色で区切られていれば、立ち止まる
・空間で示されていれば、迷わない
逆に言えば、
・見えなければ、忘れる
・読まなければ、守れない
・判断が遅れれば、事故になる
これは意識の問題ではなく、人間の特性です。
■ 上場企業の安全管理部でも、同じ壁にぶつかっている
私が見学した食品メーカー様の話は、象徴的です。
「このパウチは、私がデザインして全国の倉庫に貼りました。
それまでは、もっとバラバラでしたから」
ここには、確かな改善があります。
- 表示を統一した
- ルールを揃えた
- 管理としては前進した
それでも現場では、
- 小さくて読まれない
- 壁が汚れていく
- 行動は変わらない
管理は進んだ。
でも、安全は思ったほど前進しなかった。
■ 教育を増やすほど、現場は疲れていく
床表示をやめた会社の中には、
・教育時間を増やす
・研修を増やす
・ルール説明を細かくする
という選択をしたところもあります。
しかし結果はどうでしょうか。
・忙しいと忘れる
・新人は覚えきれない
・ベテランは自己流に戻る
教育は大切。でも 教育だけで現場を縛るのは限界がある。
■ 「貼る」「教える」以外の選択肢が、存在しなかった
ここが、本質です。長い間、現場には
次の2択しかありませんでした。
・貼る
・教える
どちらも間違いではない。
でも、どちらも 行動を支える仕組みではなかった。
だから、
・安全担当者は疲弊し
・現場は形骸化し
・上司は「なぜ守られない?」と首をかしげる
このズレが、ずっと解消されなかった。
■ 必要だったのは「意識改革」ではなかった
多くの現場で語られる言葉があります。
「意識を高めよう」
「安全意識を持とう」
でも本当に必要だったのは、意識ではありません。
意識しなくても、自然にそう動いてしまう環境 でした。
■ まとめ
・行動が変わらなかったのは、人の問題ではない
・情報を増やしても、安全は増えない
・教育だけでは、現場は守れない
・行動は、環境に設計される
ここまでで、ようやく見えてきます。
「貼る」「教える」以外の、第三の選択肢が必要だった」


