物流業界では、ドライバーや荷役スタッフの人手不足が深刻化する一方で、
「突然辞めてしまった」「理由がよく分からないままだった」という声が、現場の管理者や経営者から後を絶ちません。
実は多くの場合、辞めた理由は“分からなかった”のではなく、“見えていなかった”のです。
■ なぜ、現場の退職理由が経営者に伝わらないのか?
① 「一身上の都合」は、本音ではない
退職時、作業員の多くはこう言います
「家庭の事情で…」
「ちょっと体力的に厳しくて…」
しかし本音は――
- 上司や先輩との関係がしんどかった
- 注意や叱責が多く、毎日プレッシャーを感じていた
- 作業ルールが曖昧で、怒られるたびに不安になった
こうした“人間関係や不安環境”が辞めるきっかけになっていることは少なくありません。
② 管理者が「本当の現場」を上にあげていない
- トラブルを報告したくない
- 「教育が悪かった」と思われたくない
- 「人の問題だから仕方ない」と片付けてしまう
結果、経営者は表面上の数字や報告しか見えていない状況に陥ります。
③ 数値化されない“ストレス”が見えにくい
給料や休日日数は把握できても、
- 「毎回怒られて辛い」
- 「何をすればいいのか分からない」
- 「作業が怖い」
といった“感覚的なストレス”は報告も対策もされにくいのが現状です。
■ 本音が見えないから、対策が打てない
だからこそ、「人が辞める原因が分からないまま、また採用して、また辞めて…」という悪循環に。
しかし、辞める人が全員“根性がないから”ではありません。
現場で感じている“モヤモヤ”は、可視化と整備によって解消できる問題も多いのです。
■ 解決策は、“わかる化”による安心の仕組みづくり
✅ ルールや動き方を「見える化」することで…
- 指示されなくても迷わず動ける
- 注意されずに済む=不安やストレスが減る
- 先輩や上司によって指導内容がバラつかない
- 自分のペースで、少しずつ覚えていける
わかる化サイン(床表示・枠線・ピクトグラムなど)を取り入れるだけで、
“働きやすい職場”が自然とできあがるのです。
■ まとめ:辞める理由は、“伝わらない”のではなく、“伝わる仕組みがない”から
- 人が辞めてしまう
- 理由がはっきりしない
- 改善ができない
この流れを断ち切るには、ルールと環境の“見える化”=わかる化サインが非常に有効です。
「怒られない」「迷わない」「自信を持てる」
そんな現場こそが、人が定着し、育つ物流会社の共通点です。